こんにちは。ぶたどんです。
新築アパートの建物表題登記を自分でやってみました。
そもそも建物表題登記とは何なのか、いつどこで手続きを行い、何を準備すれば良いのか等、実際に自分でやってみた体験談を交えて詳細にご紹介します。
私のケースは新築アパートの登記ですが、マイホームの新築戸建てでも同様に実施できるので、お金を節約したいという方はぜひ本記事を参考にチャレンジしてみてください。
パッと見難しそうですが、やることは意外に簡単で(実作業は数時間程度)、節約効果は10万円以上です!
建物表題登記について
建物表題登記とは?
建物表題登記とは以下のとおりです。
「表題登記」とは、まだ公的に登記がされていない「土地」や「建物」について、「不動産の存在や規格」を新たに登録するために行う登記のことです。以前は「表示登記」といわれていましたが、2004(平成16)年6月の「不動産登記法改正」によって、名称が「表題登記」に変更されました。
引用:スゴい住宅ローン探し(https://finance.recruit.co.jp/article/b067/)
「登記」というと、一般に家を買ったり売ったりする際に司法書士を通じて申請する「所有権保存登記」や「所有権移転登記」を思い浮かべるかもしれません。こうした登記は、所有権の「権利の保全」を目的としたものです。これに対し、表題登記は「不動産の物理的状況」を公的に登録するもので、権利に関する登記の前提となるものです。申請は、不動産を新しく取得したときに「土地家屋調査士」を通じて行うのが一般的です。具体的には、建物や土地の所有権を取得してから1カ月以内に、不動産を取得した人が申請を行わなければなりません。表題登記は法的義務があるので、申請を怠ると罰則を受けます(不動産登記法164条「申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する」)。
簡単に言うと、なんのことでしょうか?漢字が多いと眠くなってきて・・。
建物表題登記を超簡単にいうと、『どんな建物なのか、そのスペックを国に登録をすること』、つまり建物の出生届のことです。
この建物表題登記は、『不動産登記法』という法律によって建物の所有権取得から一ヶ月以内に実施することが定められています。
そして、建物表題登記申請をしないと、十万円以下の罰金となってしまいます。
(建物の表題登記の申請)
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
(過料)
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第百六十四条 第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条又は第五十八条第六項若しくは第七項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。
建物表題登記はいつ実施するのか
建物表題登記をしないといけないことはわかったよ!でもいつやったらいいの?
不動産登記法の記載に従うと、『所有権の取得の日から一月以内』ですが、実務的には『工事が完了し、工事完了引渡証明書の取得後』かつ『金融機関の最終回支払い(抵当権設定)の約1週間前まで』となります。
なぜこのようなタイミングとなるのか以下で詳細に説明していきます。
建物表題登記を実施できるタイミング
まず、実施できる最速のタイミングはというと、『工事が完了し、建設業者から引渡しを受けたとき』です。
ただし、ここでいう工事完了とは、本当の工事完了日ではなく、名目上の工事完了のことです。
法務局へ確認したところ、明確な定義はないようでしたが、ざっくりと以下のイメージとのことでした。
実際、私のケースでは、以下のようにかなり未完成状態でしたが、建物表題登記を実施できました。
- 室内外の電気工事は未完(スイッチや照明類がほぼ何もついていない)
- 一部内装工事は終わっていない(幅木や塗装など)
- 室内は資材だらけで明らかに工事中
余裕を持って工事を進めているときには何も気にせずに、全ての工事が完了し、キチンとした引渡しを受けてから実施すれば良いのですが、ギリギリの工程で進めているときには、上記完成の定義が重要になります。
いつまでに建物表題登記を完了していれば良いのか
そんなに急いで登記しなくても、完全に全ての工事が終わってから建物表題登記をすればいいんじゃないの?
法的な制限は、『所有権の取得から一月以内』、つまり、『建設会社から引渡しを受けた日から一ヶ月以内』です。
ただし、現実的には建物表題登記をそんなにゆっくりと待っていることはできず、最終回の融資実行期日が先にやってきます。
アパートや戸建てを建設する際に、ほとんどの方は金融機関から融資を受けていると思いますが、建設資金の融資は通常複数回に分けて実行されます(もしくはつなぎ融資を利用し、最終回で長期融資が実行されます)。
そして、最終回の融資を実行する条件となるのが、
建物が完成し、建物表題登記が完了していること
金融機関側は当たり前のように考えていましたが、私は直前まで『表題登記完了が完了していなければならない』という条件を知らずに、引渡し日程を急に前倒してもらい、建物表題登記を実施しました。
ちゃんと教えてくれればいいのに、ひどい!!
(事前に調べなかった自分が悪いだけ)
通常、最終回の融資実行時に『所有権保存登記』と金融機関の『抵当権設定登記』を行いますが、事前に建物表題登記が終わっていないと所有権保存登記と抵当権設定登記ができません。
金融機関は、建物表題登記が完了していることを確認し、最終回の支払に関する稟議を行い、融資実行となりますが、その稟議手続きのために約1週間程度は余裕がほしいとのことでした。
また、建物表題登記は、法務局にて提出された書類を確認し、その後、実際に法務局の職員さんが現地調査を行います。
そして、現地調査の結果をまとめて法務局内で手続きを行うため、建物表題登記の申請から完了までで約2週間程度かかります。
つまり、遅くとも最終回融資を実行する3週間前には建物表題登記の申請をできるように進めましょう。
なんで誰も教えてくれなかったんだろう・・。
もし金融機関の期限に間に合わないってなったらどうなるの?
一応、金融機関で最初の稟議を取り直せば良いようでしたが、稟議の手間に加えて期限を守れなかった印象の悪さも加わり、担当者としてはなんとしても避けたい様子でした・・。
(参考)所有権保存登記と抵当権設定登記とは
所有権保存登記とは、以下のとおりです。
所有権保存登記とは、所有権の登記のない不動産について、最初に行われる所有権の登記のこと。
引用:SUUMO(https://suumo.jp/yougo/s/shoyuukenhozontouki/)
建物が新築された場合、最初の所有者が1カ月以内にどのような建物かを公示することを「表示登記」というが、その次に登記内の甲区欄に「所有者が誰か」を明示することを「所有権保存登記」という。なお、所有権保存登記するかは、所有者の任意となっているが、建物購入の際に金融機関から借り入れをし、土地・建物に抵当権を設定する場合は、所有権保存登記が必要となる。
つまり、建物表題登記では建物のスペックを登録し、その建物を誰が所有しているのかを登録するのが所有権保存登記です。
また、抵当権設定登記とは、以下のとおりです。
抵当権の設定を記載した登記のことを、抵当権設定登記といいます。
引用:ホームズ(https://www.homes.co.jp/words/t4/525001152/)
抵当権とは、債務者が債務を履行できない場合に、債権者が競売等を実行して、債権を確保する担保権の一種です。
不動産取引で、抵当権の設定が行われるのは、ローンを借りて不動産を手に入れる際に、債務者(借り手)が金融機関(銀行など)と抵当権設定契約を結ぶ場合です。このとき登記される抵当権設定登記には、日付・原因・債権額(借入額)・利息・損害金・債務者(借り手)・債権者(金融機関)などが記載されます。
なお、登記の申請には、抵当権設定契約書、権利証(登記済証)印鑑証明書、司法書士への委任状などが必要となります。
簡単に言うと、金融機関からお金を借りて建物を建設しますが、金融機関へ借りたお金を返せなくなった際に金融機関がお金を回収するために物件を取り上げる権利のことです。
所有権保存登記と抵当権設定登記は司法書士が行える手続きで、融資実行と同時に金融機関で行われます。
一方で、本記事のテーマである建物表題登記の申請は、司法書士では手続きを行えず、土地家屋調査士か自分で行う必要があります。
建物表題登記をやってみた!実際の手順と体験談
それではここから建物表題登記申請を自分でやってみた際の必要書類や実際の手続きやその流れを詳細にご説明します。
大変だったの?
たろーが書類を作って、私はそれを提出しにいっただけでした。
手順① 建設会社から必要な書類を集める
まず、建物表題登記申請で必要な書類と入手先は以下のとおりです。
必要な書類 | 入手先 |
---|---|
登記申請書 | 自分で作る |
建物図面、各階平面図 | 自分で作る |
案内図 | 自分で作る |
原本還付請求 | 自分で作る |
住民票(個人の場合のみ) | 自分で取得 |
建築確認通知書 (副本と確認済証) | 建設会社 |
工事完了引渡証明書 | 建設会社 |
建設会社の印鑑証明書 | 建設会社 |
建設会社の登記事項証明書 | 建設会社 |
自分で作る書類の作り方については後ほどご紹介していきますが、建設会社からは上記4つの書類を入手してください。
また、建物図面と各階平面図を自分で作るために、建築確認申請書の図面類の電子データ(原本の印刷前のきれいな状態の電子データ)も合わせて入手しておくとその後の作業が楽になります。
これらのうち、建築確認通知書と図面類のデータは既にできており、印鑑証明書と登記事項証明書も法務局で入手をしてもらえば良いだけです。
工事完了引渡証明書も建設会社からもらえば良いだけですが、工事完了引渡証明書の記載内容によっては法務局から修正コメントを受けるため注意が必要です。
手順②で詳細を説明していきます。
手順② 工事完了引渡証明書の記載内容を修正してもらう
工事完了引渡証明書は、建設会社によってフォーマットは異なっており、特段これでないといけないということはありません。
参考までに私が使用した工事完了引渡証明書は以下のとおりです。
黒丸の箇所は、建設会社の実印が押印されており、法務局の指示で後々修正できるように必ず捨て印をもらってください。
フォーマット自体に指定はないのですが、記載されている内容が登記申請書と異なっている場合(登記法に基づく正しい記載になっていない場合)には修正が必要となります。
注意すべき記載内容は以下のとおりです。
(1)所在
住所表記ではなく、地番で記載します。
土地の登記簿謄本、建築確認申請書類等を確認し、正しい記載になっているか確認しましょう。
なお、私のケースだけかもしれませんが、土地の謄本には『〇〇町77番77』と記載されていましたが、申請書では『〇〇町77番地77』に訂正するよう指示されました。
(2)種類
建物の種類は、不動産登記法規則に則た記載をします。
自分用の戸建てであれば『居宅』とし、アパートやテラスハウス(長屋)であれば『共同住宅』と記載してもらいます。
建築確認申請の書類は、建築基準法に合わせた記載をしていますが、登記申請では不動産登記法のお作法で記載しなければならず、表現が異なっているため注意が必要です。
私のケースでは、当初工事完了引渡証明書において『長屋』と記載されていましたが、法務局から指摘され、『長屋(共同住宅)』との記載に改めました(共同住宅のみでも問題ありませんでしたが、カッコ書きでも良いとのことで、上記のように記載しました)。
(建物の種類)
引用:不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百十三条 建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
2 建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする。
(3)構造
建物の構造は、不動産登記法に則った記載をします。
記載の順番は、以下のとおりに「構成材料+屋根の種類+階数」といった記載をします。
例えば、一般的な木造で瓦葺きの2階建ての戸建てであれば、『木造かわらぶき2階建』のように記載します。
私のケースでは、ガルバリウム鋼板の屋根でしたが、登記法に準じて表現すると、『合板メッキ鋼板ぶき』になるようで、『木造合板メッキ鋼板ぶき2階建て』の記載になりました。
建築確認申請の書類と比べると、『ぶき』がひらがな表記だったり、屋根の表記が異なっていたりするので、法務局にこの記載で良いのか確認すると良いです。
(建物の構造)
引用:不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百十四条 建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、次のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
一 構成材料による区分
イ 木造
ロ 土蔵造
ハ 石造
ニ れんが造
ホ コンクリートブロック造
ヘ 鉄骨造
ト 鉄筋コンクリート造
チ 鉄骨鉄筋コンクリート造
二 屋根の種類による区分
イ かわらぶき
ロ スレートぶき
ハ 亜鉛メッキ鋼板ぶき
ニ 草ぶき
ホ 陸屋根
三 階数による区分
イ 平家建
ロ 二階建(三階建以上の建物にあっては、これに準ずるものとする。)
(4)床面積
床面積も不動産登記法に則って記載し、登記申請書の数字と合わせる必要があります。
(建物の床面積)
引用:不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百十五条 建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。
(5)日付
工事完了引渡証明書に記載された『建築完了日』と『引渡日』、登記申請書の『申請日』の整合を図らなければなりません。
少なくとも、『建築完了日』→『引渡日』→『申請日』となっていなければおかしいです。
また、登記申請書に記載する登記の日(登記簿に記載される建築年月日)は、工事完了引渡証明書の『建築完了日』と合わせなければならないとのことでした。
私のケースでは、ちょうど申請するタイミングが月またぎで翌月になる日で、少しでも新築と言える期間を長くしたかったので、登記申請した日を工事完了日にできないか法務局へ相談しました。
相談の結果、工事完了引渡証明書で『工事完了』と記載された日でしか登記できないとのことだったので、完了検査を受けた日にちを『検査確認日』として、登記申請を行った日が本当の工事完了日かつ引渡日として、『工事完了引渡日』という記載に修正してもらいました(上記画像を見るとそのような記載になっています)。
手順③ 書類作り(その1)登記申請書
登記申請書を作成します。
実際に私が使ったテンプレートは以下です。
問題なく申請できましたが、不安な方は法務局へ問題ないか確認すると間違いありません。
記載すべき内容というのは、実は不動産登記令にて細かく定められているので参考に記載します。
上記の申請書と下記不動産登記令の記載を比べると、同じ内容が書いてあることがわかります。
(申請情報)
引用:不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)
第三条 登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
一 申請人の氏名又は名称及び住所
二 申請人が法人であるときは、その代表者の氏名
三 代理人によって登記を申請するときは、当該代理人の氏名又は名称及び住所並びに代理人が法人であるときはその代表者の氏名
四 民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百二十三条その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請するときは、申請人が代位者である旨、当該他人の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
五 登記の目的
六 登記原因及びその日付(所有権の保存の登記を申請する場合にあっては、法第七十四条第二項の規定により敷地権付き区分建物について申請するときに限る。)
八 建物の表示に関する登記又は建物についての権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる事項
イ 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)
ロ 家屋番号(建物の表題登記(合体による登記等における合体後の建物についての表題登記を含む。)を申請する場合、法第七十四条第一項第二号又は第三号に掲げる者が表題登記がない建物について所有権の保存の登記を申請する場合及び表題登記がない建物について所有権の処分の制限の登記を嘱託する場合を除く。)
ハ 建物の種類、構造及び床面積
ニ 建物の名称があるときは、その名称
ホ 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積
ヘ 建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積(トに掲げる事項を申請情報の内容とする場合(ロに規定する場合を除く。)を除く。)
ト 建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称
実際にやってみた注意点がいくつかあるので、以下を参考にしてください。
注意点1 建物の表示について
先ほど工事完了引渡証明書で記載したものと同じ内容を記載します(不動産登記法に則った記載をします)。
『登記原因及びその日付』については、工事完了引渡証明書の工事完了日を記載します。
注意点2 法人番号の記載
法人で登記をする場合や、建設会社が法人の場合には、法人番号を記載します。
自分の法人番号については、以下のとおり定められているので必ず必要ですが、建設会社については法律上必須かどうかはわかりませんでしたが、法務局からコメントがついたものです。
なお、個人で申請する際には、住民票が必要になるとのことでした。
(添付情報)
引用:不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)
第七条 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
一 申請人が法人であるとき(法務省令で定める場合を除く。)は、次に掲げる情報
イ 会社法人等番号(商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第七条(他の法令において準用する場合を含む。)に規定する会社法人等番号をいう。以下このイにおいて同じ。)を有する法人にあっては、当該法人の会社法人等番号
注意点3 家屋番号の記載
家屋番号は、地番と同じ番号を記載するようですが、不安なときは空白のままでも提出できるようです。
私のケースでは、空白で持ち込んだところ、番号は確定しているため、地番と同じ番号を記載するようコメントを受けました。
なお、申請書で土地については『●●番地●●』と記載しますが、建物は『●●番●●』といった記載で、番地か番の違いがありました。
(家屋番号)
引用:不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百十二条 家屋番号は、地番区域ごとに建物の敷地の地番と同一の番号をもって定めるものとする。ただし、二個以上の建物が一筆の土地の上に存するとき、一個の建物が二筆以上の土地の上に存するとき、その他特別の事情があるときは、敷地の地番と同一の番号に支号を付す方法その他の方法により、これを定めるものとする。
注意点4 添付情報の記載
所有権証明書情報及び住所証明情報について、それに相当する書類が別途必要かと思っていましたが、本申請書や工事完了引渡証明書など、現在用意しているもので足りているようです。
手順④ 書類作り(その2)各階平面図、建物図面
自分で建物表題登記の申請する際の一番時間がかかるのは図面作成です。
少し作業時間はかかりますが、やっていること自体は線をなぞって大きさを調整するだけの単純作業なので、諦めずについてきてください。
この作業でどのくらい時間かかったの?
図面をなぞって作るのに2時間くらいで、その後、プリンタの微調整やコンビニ印刷で1時間くらいです。(横でお菓子を食べながら見ていただけです)
【全体の流れ】
1.図面を入手する
2.図面データをパワポへ貼り付ける
手順④-1 建設会社から図面を入手する
まず、こちらで必要な図面を作成するために、建設会社から建築確認申請のために使った図面類の電子データを入手してください。
必要なデータは以下です。
- 求積図、配置図
- 測量図
手順④-2 図面データを画像データにし、パワポへ貼り付け、大きさを調整
『求積図、配置図』と『測量図』をそれぞれ画像データにし、PowerPointへ貼り付けを行います。
具体的には、例えば図面データを開いた状態で「Print Screen」をし、その画面を「ペイント」ソフトへ貼り付け、図面データの箇所だけを切り出してから、PowerPointへ貼り付けをすればよいです。
例えば、下記のような図を切り出して、PowerPointへ貼り付けます。
申請に使う図面は、1/250のサイズで作るため、上記図面データを1/250のサイズに合うよう調整します。
具体的には、図面上で最大の辺の長さ一辺を1/250した直線をパワポで作り、その長さにピッタリ合うように図の大きさを微調整します。
例えば、最大の辺の長さ(壁の長さ)が10mだったら、10m÷250=0.04m(4cm)の直線を作り、図の大きさを合わせます。
手順④-3 各階平面図の図を作る(なぞる)
手順④-2で調整した図面の外壁に沿って、線を引きます。
完成イメージは下記の左のような図で、全ての線を図面にピッタリ合わせて引いたら、貼り付けた画像データを削除し、新しく引いた線だけにします。
手順④-4 各階平面図を仕上げる
作成した図の各辺に長さを小数点第三位まででメートル表記で記載します。
次に、図面の隣に、求積表を記載します。
求積表の書き方は、以下のとおりです。
- 長方形のブロックを足して全体面積を計算するようにかけ算の式を記載する
- 各辺の長さは小数点第三位までで、各辺の長さをかけた各長方形の面積は小数点第六位まで記載します。
- 各長方形の面積を足した数字を小数点第六位までで記載します。
- 合計した数字を小数点第三位以下は切り捨てとし、小数点第二位までの床面積を記載します。
1階と同様に2階も作成し、求積表の図は完成です。
手順④-5 建物図面を作成する
各階平面図は、建築確認申請の図面そのまま利用できますが、建物図面は隣地の情報を記載するので、図面資料では少し足らない可能性があります(私の場合はちょっとだけ情報不足でした)。
そこで、建設会社からもらう『配置図』と土地を売買したときに不動産会社からもらう『測量図』を組み合わせて作成します(もしかしたら普通に作れる方もいるのかもしれませんが)。
方法は、各階平面図と同様に、『配置図』と『測量図』のデータをPowerPointへ貼り付け、1/500の大きさになるように調整します。
配置図と測量図をうまく組み合わせて、建物の位置と隣地の情報がわかるようにベースとなる画像を準備します。
その後、各階平面図と同様に上から建物の各辺と各敷地の境界線をなぞれば線が完成します。
あとは、自分と土地、隣地の地番を全て記載し、隣地境界から建物までの距離を記載すれば完成です。
要するにやることは、図面データをうまく組み合わせて上から線をなぞるだけです。
手順④-6 枠を作り、図面をB4で印刷する
先ほどPowerPointで各階平面図、建物図面を作成しましたが、あとはそのデータを枠に貼り付けて印刷すれば完成です。
私が使った枠の様式は以下のものです。
注意点としては、法務局に提出する各階平面図、建物図面の資料は、B4で作らなければいけません。
自宅でB4を印刷できる方は、そのまま印刷し、自宅でできない方はコンビニで印刷する必要があります。
また、印刷するプリンタによって、図面のサイズが1/250や1/500からずれてしまいます。
そのため、一度印刷したら最長の長さの辺を定規で図り、1/250、1/500となっているか必ず確認してください。
もし、ずれているときは印刷するサイズを微調整し(例えば110%等)、印刷された紙でそれぞれの辺が適切な長さになるまで微調整を行ってください。
法務局へ提出すると、定規で長さをチェックされます。
これで図面データは完成です。
もう山場は超えました。
手順⑤ 書類作り(その3)案内図、原本還付請求
案内図と原本還付請求はあっさりと完成します。
案内図
google mapで現地住所がわかるように印刷し、どこが現地の位置がわかるようにマーキングし完成です。
原本還付請求
登記申請時に工事完了引渡証明書や建築確認通知書の原本を提出しますが、手続きが終わった後に返却してもらうために原本還付請求といったものを提出します。
実際に使った原本還付請求の様式は以下のものです。
不動産登記規則を見ると難しいことが書いてありますが、上の内容を書いた紙1枚を提出するだけでOKです。
(添付書面の原本の還付請求)
引用:不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第五十五条 書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。ただし、令第十六条第二項、第十八条第二項若しくは第十九条第二項又はこの省令第四十八条第三号(第五十条第二項において準用する場合を含む。)若しくは第四十九条第二項第三号の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない。
2 前項本文の規定により原本の還付を請求する申請人は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出しなければならない。
3 登記官は、第一項本文の規定による請求があった場合には、調査完了後、当該請求に係る書面の原本を還付しなければならない。この場合には、前項の謄本と当該請求に係る書面の原本を照合し、これらの内容が同一であることを確認した上、同項の謄本に原本還付の旨を記載し、これに登記官印を押印しなければならない。
手順⑥ 法務局にて確認と提出
いよいよ法務局へ行くんだね
たろーと一緒に朝一で行きました。誰もいなかったので、じっくりと書類を確認してもらえました。
これまで作成した資料一式持参し、法務局にて書類の確認をしてもらいます。
法務局へ持っていく書類は以下のとおりです。
また、その場で修正できるように申請書等に押印した印鑑も合わせて持参してください。
必要な書類 | 入手先 | 備考 |
---|---|---|
登記申請書 | 自分で作る | A4 1枚 |
建物図面、各階平面図 | 自分で作る | B4 1枚 |
案内図 | 自分で作る | A4 1枚 |
原本還付請求 | 自分で作る | A4 1枚 |
住民票(個人の場合のみ) | 自分で取得 | - |
建築確認通知書 (副本と確認済証) | 建設会社 | ファイル1組 |
工事完了引渡証明書 | 建設会社 | A4 1枚 |
建設会社の印鑑証明書 | 建設会社 | A4 1枚 |
建設会社の登記事項証明書 | 建設会社 | A4 1枚 |
土地家屋調査士にて建物表題登記の申請を行う際には、建物の写真等も添付し、法務局の現地調査は行わないようですが、一般人が申請すると事前に建物写真を添付したとしても必ず現地調査をするので、余計な資料はつけなくてOKです。
従来は法務局にて30分程度の相談を受け付けていたようでしたが、私が法務局へ行った際には新型コロナの影響で事前相談が中止になっていました。
そのため、事前相談ではなく申請と同様に一旦提出し、その場で確認してもらいました。
訂正印で修正も可能でしたが、提出日(=工事完了日)を別の日にしたかったので、その日は確認だけしてもらい、帰ってコメントあった内容を修正し、別の日に提出しました。
訂正印で対応できる内容のみであれば、その場で修正し提出もOKです。
手順⑦ 現地調査
申請書を提出した翌日、法務局から現地調査の日程調整について電話がありました。
融資の関係で最速の日程でお願いしていたこともあり、約1週間後に現地調査を行いました。
朝10時に現場待ち合わせで、法務局の方は外観と室内を一通りチェックし、色々と写真撮影をしていました。
かかった時間は15分から20分程度で、撮影した写真をまとめて担当者が書類を作成し、法務局内で審査をして完了といった流れのようです。
法務局内ではお役所的な雰囲気の方でしたが、現場で会うとかなりフランクで色んな話も聞けたので意外に楽しかったです。
手順⑧ 手続き完了!
現地調査で問題がなければ数日中に手続きが完了します。
私のケースでは、とにかく急ぎでやってほしいとお願いしたこともあり、現地調査の翌日に手続きが完了したと電話連絡を受けました。
法務局に完了通知書と預けていた原本を受け取りに行き、手続き完了です。
お疲れさまでした。結構色々あったね。
間違っている箇所は法務局の方が細かく教えてくれるので、チャレンジしやすいなって思います。これで10万円節約できたと思うとすごい!浮いたお金で何しようかな~♪
実際に建物表題登記の申請をやったみた注意点と補足
登記完了までの時間を考慮し早めに動くべし
私の場合は、登記申請から9日で登記完了できました。
ただし、これは『融資が間に合わないので、急いでほしい』ととにかくお願いしたこともあるので、チャレンジする方はきちんとゆとりをもって取り組んだ方がよいです。
資料を作成する数時間と、法務局に2回通う時間、現地調査に行く時間さえ確保できれば、難しいことはありません!
本当の完成前に受ける時は、現場の片づけをしっかりやるべし
名目上の完成で手続きはできるものの、法務局にて写真撮影を行って手続きするので、なるべく出来上がっている写真がとれるように準備した方がよいです。
実際に現地調査した際は、室内が資材置き場化しており、来た方も少し困っていました。
結局、「なるべく写らないように撮るけど、ちゃんときれいにした方が良かった」とコメントがありました。
法務局の方も人間なので、困りごとは聞いてくれますが、できる限りスムーズにできるよう現地調査の日だけでも完成ぽくした方が心証が良いです。
(参考)建物表題登記の申請にかかったお金は?
手続き自体は無料なので、自宅でのプリンタ印刷代数十円と、コンビニのプリント・コピー代数十円、法務局への交通費のみで、合計数百円程度です。
土地家屋調査士へ依頼すると、10万円程度はかかるので、平日に2~3日程度動ける方、もしくは家族が協力してくれる方はチャレンジする価値あると思います。
まとめ
本記事では、建物表題登記の手順と、実際の体験談を紹介しました。
要点は以下のとおりです。
『登記申請』というとかなりハードルが高いように感じますが、上から線をなぞるだけの作業なので、ぜひチャレンジしてみてください。
もしわからないことがあれば、法務局へ電話で問い合わせると親身になって相談にのってくれると思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
追伸
新築戸建てを建てた方は、建物が完成したらぜひSUUMOでやっている購入者アンケートに答えてみてください。
最近見つけたのですが、アンケートに回答するだけで5,000円のギフトカードがもらえるので、大変お得です!
登記費用で10万円節約して、アンケートで5,000円ももらえるなんて!完成お祝いにお寿司でも宅配しちゃおうかな♪
アパートはギフトカードもらえないよ・・・