7棟目の傾いた家では、生活保護受給者の方に入居いただきました。
不動産投資をしていると不動産会社から『生活保護の方はOKか』とよく聞かれ、ずっとためらっていましたが、今は積極的に受け入れるようにしています。
生活保護の方を入居者にするとリスクが高いのか、保証会社へ通せるのかなど、実体験を紹介します。
生活保護について
生活保護とは
生活保護とは、最低生活の保障と自立の助長を図ることを目的として、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行う制度です。
生活保護を受けるための要件
生活保護を受けるためには、要件が決まっています。
具体的には、以下に記載した全てを活用したうえで、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、保護が適用されます。
資産の活用
預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充てる。
能力の活用
働くことが可能な方は、その能力に応じて働く。
あらゆるものの活用
年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用する。
扶養義務者の扶養
親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受ける。
支給される保護費
厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
具体的には、以下のような各種費用に対して扶助が支給されます。
生活を営む上で生じる費用 | 支給内容 |
日常生活に必要な費用 | 基準額は、 (1)食費等の個人的費用 (2)光熱水費等の世帯共通費用を合算して算出。 |
アパート等の家賃 | 定められた範囲内で実費を支給(住宅扶助) |
義務教育を受けるために必要な学用品費 | 定められた基準額を支給 |
医療サービスの費用 | 費用は直接医療機関へ支払 |
介護サービスの費用 | 費用は直接介護事業者へ支払 |
出産費用 | 定められた範囲内で実費を支給 |
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 | 定められた範囲内で実費を支給 |
葬祭費用 | 定められた範囲内で実費を支給 |
それぞれの金額は、地域や世帯数によっても異なります。
参考:厚生労働省
生活保護の家賃(住宅扶助)の上限額
生活保護で支給される住宅扶助の金額には地域によって差があり、自治体ごとに設定されています。
また、世帯人数によっても異なるので、自分が投資しているエリアでいくらなのかは、直接市役所等の自治体へ問い合わせれば教えてもらえます。
生活保護の家賃(住宅扶助)の支払方法
住宅扶助は、生活保護を受給している人に直接支払われるのが一般的ですが、代理納付といって、自治体から直接大家へ振り込むこともできます。
代理納付をするかどうかは、自治体側の判断になるので、直接自治体へ相談すると変えてくれることもあります(実際に経験しました)。
生活保護で保証会社を通せるのか
保証会社や申込者次第ですが、『生活保護受給を証明する書類』を提出すれば、保証会社の利用もできます。
詳細は利用する保証会社によっても異なるので利用する会社へ問い合わせ等が必要ですが、私は生活保護の方も必ず保証会社を利用して契約をしています。
生活保護受給者が働き始めたらどうなるのか
生活保護は、『厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給』される制度なので、生活保護受給者が働き始めると、それに応じて受給額は減少します。
もちろん、家賃の補助(住宅扶助)も減少します。
生活保護入居者との実体験
生活保護入居者との出会い
不動産会社経由でポータルサイトにて募集していたところ、たまたま内見申込がありました。
物件を内見すると、大変気に入ってくれたようで早速申込をしたいとお話をいただきましたが、引っ越し理由にビックリしました。
ペット禁止のアパートだったんですが、猫を飼って大家から追い出されました。今は10匹くらいです・・。少し減らしますので、入れてくれませんか?
猫の多さに大変驚きましたが、生活保護の上限額まで家賃を限界まで上げてもいいということで、OKでしました。
家賃がアップしても、結局家賃を支払うのは自治体なので、特に入居者としては住めれば家賃は全く気にしていないようでした。
そして、いくら市が家賃を払ってくれるとはいえ、万が一生活保護が切れたらまずいなと思って、念のため保証会社もつけて契約を行いました。
住み始めたら・・
引越しをしてから数週間後に、家の前を通って様子を見てみると、
- 庭の隅には自転車やゴミの山
- 家族みんなでワイワイ暮らしている
ゴミの山にはビックリしましたが、築年数が経っていて隙間風も多く、不安をかかえた家だったのでクレームが多発するのではないかと心配でしたが、家族やたくさんの猫たちと問題なく暮らしてくれているようで安心しました。
家族が働き始めると・・
当初、完全に生活保護で暮らしていましたが、途中から家族が働き始めたようで、自治体から電話がありました。
今月収入があったので、来月から家賃補助額が一部減ります。それに伴い、市からは一旦生活保護を受けている入居者へ補助額を支払い、直接大家さんへは振り込みをしてもらいます。
それって大丈夫なんですか?本当に振り込まれますか?
一部支給になると直接振込はできないんです。
これまでは、市から満額で振り込まれていましたが、翌月からは直接振り込まれないので不安を感じていましたが、嫌な予感が的中しました。
家賃分って知らなくて全部使っちゃいました。来月以降に必ず支払うので待ってくれませんか?
悪い方ではないのですが、お金の管理がうまくできないようで、あるだけいつも使ってしまうようです。
どうしたものか悩み、市役所と交渉することにしました。
市役所との戦い
市役所へクレームの電話を入れました。
だから言ったじゃないですか!市として今後どう管理していくのか説明してください!
本人と相談して、お金の管理をどうやっていくのか検討します。少しお時間をください。
その後、本人から連絡がありました。
本当にすいませんでした・・。今後はこういったことがないようにしますので、許してください。
市役所からきつく怒られたようで、少し申し訳ない気持ちになりました。
滞納分の家賃は、後日約束通りに振込をしてくれました。
ATMの操作方法もよくわからなかったようで、何度もこちらへ電話をしながら振込をしてくれました。
ちゃんと説明しなかった市役所側が悪いので、市役所へも何度も管理方法を変えろと文句を言い続けたところ、
来月から満額受給へ戻りますので、これまで通り市から直接振込します。
なぜ満額に戻ったのかはわかりませんが、1ヵ月で問題は解決しました・・。
不動産投資で生活保護の方はありか
不動産屋の意見
入居者を募集する際に、よく「生活保護の方は受け入れOKですか?」と質問されます。
私たちは経験済なので、
もちろんOKです!
と答えますが、不動産会社さんの意見は様々です。
生活保護の方は、住み方が荒く、出ていった後がひどいからウチでは避けてます。
家賃も上限まで高くできるので、おいしいですよね。とりっぱぐれないし。
実際どういった方が入ったかで結果は様々なので、その人の経験や考え方次第かなと思います。
投資家として自分の考え
築古物件ならガンガン受け入れます!
それって大丈夫なの?
退去後に部屋が荒れたら、確かにお金がかかって大変ですが、生活保護に限らず、部屋を荒らす人は荒らします。そしてあっさり夜逃げもし、回収自体が困難で諦めるしかなかったこともありました。
それに比べると生活保護の方は、
- 生活保護を受けて生活できるので、よっぽどのことがなければ夜逃げする必要がない
- 引っ越したくても簡単には引っ越せない(市が認めない)
といったこともあり、基本的には長期入居が前提で、仮に退去があっても生活保護を受給し続けるためにそう簡単には行方不明とはなりません。
高利回りの築古物件であれば、長期的に住んでくれると十分に投資資金も回収できているので、万が一退去となったときにも、またリフォームすればいいかなと割り切っています。
しかも、生活保護の方で家賃を高めに貸し出すことができれば、リフォーム資金も家賃として十分にもらえるので、あえて避ける必要は無く、むしろ積極的に入って欲しいと思います。
部屋をずっと綺麗に使ってほしいという方には向かないかもしれませんが、汚いボロボロの物件やリフォームに抵抗感のないボロ再生投資家なら受け入れない理由はないように思います。
まとめ
今回は、初めて生活保護の方を入居者として迎えました。
住んでいただいてから数年間立ち、色んな経験をしましたが、また生活保護の方とご縁があれば積極的に受け入れたいと考えています。
退去がなければ悪いことなさそうだね
そうなんです。もし退去があったら恐ろしいですが、なんやかんや我が家の一番の稼ぎ頭になっています。
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