この記事では、
- 銀行融資で悩んでいる
- 借入を増やして安定経営をしたい
- 新規銀行との取引を開始したい
という方のために、銀行融資におすすめの書籍を紹介します。
僕自身で過去に受けた融資は、合計16本(地銀:2行、信用金庫:3庫、政府系(日本政策金融公庫))で、その全てが地元にある金融機関です。
会社員をしながら不動産投資をやっているいわゆるサラリーマン投資家ですが、会社員の年収は低く、サラリーマンの収入を担保に融資を受けたわけではありません!
また、銀行融資を受けるためには『紹介がいい』とも言われますが、一切コネがなかったため、全て直接電話でアポを取りし、自ら開拓してきました。
そんな僕が、実際に役立った本の中でも、特に
- これを読むだけで明らかにレベルが上がる
- 絶対に読んで損はない
と思った本を、厳選して紹介いたします。
融資の本って役に立つの?
超役に立ちます!何回銀行に通ってもその仕組みや内部は全くわからないので、絶対に本で学ぶべき内容です!
まずはこれだけ読めば大丈夫!厳選3冊
銀行からの融資 完全マニュアル
著者の川北英貴さんは、元銀行員で資金繰りに関するコンサルティングをやっていらっしゃる方で、その知識全てを放出したんじゃないかと思われるような熱量の高い本です。
タイトルに、『社長、この1冊で大丈夫です』と書いてある通り、銀行融資に関する全てが1冊に詰まった本です。
記載されている内容を一部あげると、
・なぜ融資が必要か
・融資のメリット・デメリット
・売掛金・買掛金、運転資金・設備資金等基礎の用語解説
・設備資金と減価償却費・耐用年数の関係
・資金使途違反の確認について
・プロパー融資の実績のない会社がプロパー融資を受けるには
・なるべく低い金利とするには
・既存融資の金利を下げるには
・銀行の種類と特徴
・融資審査の流れとポイント
・決算書の見栄えを良くする工夫
・銀行との想定問答集
・経営計画書、資金繰り表の作り方
・返済に困ったときの対応
など、融資全般に関して百科事典のように細かく記載されています。
色んな銀行融資に関する本を読みましたが、この本をじっくり読めば他の本に記載されている銀行融資に関するほとんどの内容が網羅されているので、完全マニュアルといっても遜色ない内容だと思います。
デメリットとしては、価格が3,200円(税抜)と高いことと、情報量が非常に多いのでどこに何が書いてあるのか簡単に読む返すのが困難ということです。
そのため、本書を読む際には必ずマーカーペンなどを準備し、大事だと思った箇所をマーキングしながら読むことをおすすめします!
まだ事業を開始していない方には、初めて聞く言葉ばかりで難しい内容も多いですが、一度さらっと目を通し、何度か読み返すと良いです
儲かる会社をつくるには赤字決算にしなさい—会社にお金を残す32のコツ
著者の井上和弘さんは、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングという企業経営に関するコンサルティングをやっている方で、この本ではいかにして好条件の融資を獲得するのか、銀行融資のノウハウが詰まった本です。
様々な本で決算書の作り方や見方などを学べますが、この本で教えているのは、銀行格付け(スコアリング)でも最高の評価を得る『本当に強い実践的な決算書の作り方』です。
銀行格付けってなんなの?
金融機関から見た事業者・会社の成績表です。この成績表を基に融資の可否や金利条件などが決まります
金融機関の裏側で評価している格付け(スコアリング)を知らないと融資獲得は難しくなります。
しかも担当者に聞いても絶対に詳細は教えてくれません(むしろ担当者もちゃんと理解していない場合も・・)。
本書で学べるのは、
・格付け(スコアリング)とは何なのか
・どのような決算書を作れば金融機関から評価が高いのか
・評価の高い決算書を作る具体的な方法
-資産のオフバランス
-具体的な勘定科目の置き方
-減価償却の使い方
・銀行、税理士、税務署との接し方、戦い方
などです。
他の書籍でここまでストレートに戦略が記載されているものは見たことがなく、長年多くの経営者たちと戦ってこられた経験から出る言葉の重みを感じます。
僕が初めてこの本を読んだのが、事業を開始して数年後でしたが、それでも知らない内容ばかりでした。
事業をやっていない方や、経理的基礎知識がないと少し難しい内容も多いですが、銀行融資を使って事業を行うのであれば絶対に読むべき本です。
融資獲得銀行格付けアップ術―次の決算に間に合う
この本は、タイトル通り、銀行の格付けをどうすればあげられるのか、格付けの仕組みを詳細に解説している本です。
もそも銀行格付けとは何か、それを改善するためにはどういった対策をとればよいのか理解できます。
この本で学べることは
・格付けの流れ
・格付けの評価項目や重要度、目安
・現在の状況からどういった対策を行えばよいのか
などです。
他の本と合わせて読むと、銀行格付けの仕組みが詳しく理解できると思います。
格付けばっかりだけど、そんなに大事なの?
銀行融資には格付け攻略が最重要ですよ
銀行融資に必要なファイナンスを学ぶならこれ1冊!
ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務
ファイナンスとは、「資金調達」、「投資決定(資金利用)」、「収益の分配」のことで、銀行からの融資はデットファイナンスと呼ばれるファイナンスの1種です。
こちらの本は、経営者にとって必要となるファイナンスの基礎知識をざーっと学べる良書です。
難しい話も多いのですが、それを初心者にわかりやすく説明してくれるので、財務やファイナンスでつまづいた方にも非常におススメです(僕自身が難しい専門書を最初に読んでつまづきました)。
この本で学べるのは、次のような内容です。
- ファイナンスとは何か(会計との違い)
- 財務会計と管理会計の違い、その基礎知識(財務三表の仕組みなどを詳細に解説)
- 企業の資金調達の方法
- 利益重視、会計重視の問題、限界点
- 資金調達のコスト(株主資本コストなど)
- お金の時間価値(将来価値(FV)、現在価値(PV)、リスクと割引率)
- 企業価値の算出(フリーキャッシュフロー、減価償却、加重平均資本コスト(WACC))
- 投資の判断基準プロセスと具体的計算法(NPV(正味現在価値)法、IRR(内部収益率)法など)
- お金の借り方(最適な資本構成、負債を減らす影響など)
この本の内容はとにかく難しいです。でもわかりやすいです!
これまで紹介した本と違って、直接本書の内容が直接利用できるわけではありませんが、経営者ならぜひ理解しておきたい内容です。
少し古い本ですが、いまだにベストセラーとなって売れている本で、普遍的な内容なのでぜひ読んでみてください。
なお、こちらの本は、オーディブルの聞き放題プランにある本なので、オーディブルを利用したことない方は30日間無料で体験できるので、ぜひオーディブルで聴いてみてください。
ちなみにこの本の朗読者は、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)をちんしゃくたいしょうひょうと言っており、ひどいです・・・素晴らしい本なのにオーディブルの朗読者が・・
えぇぇ・・。
銀行融資に関する実践編!厳選2冊!
これまで紹介した本は、銀行融資の理論に関する本でしたが、次に紹介するのは実際に融資を獲得していくまでの実践的な本です。
銀行員だった大家が教える! 不動産投資 融資攻略バイブル
著者の半沢大家さんは、元銀行員で、自身の経験やスキルを活かして毎年のように金融機関から融資を受けて新築アパートを建てている不動産投資家です。
この本では、いかにしてプロパー融資を受けるかというテーマで、銀行の内部事情も含めて詳細に解説してくれています。
プロパー融資ってなに?
保証協会などの保証や個人属性(給料)を担保に融資を受けるのではなく、銀行が自身のリスクで融資を行う事業性融資のことです
メインは不動産に関する融資の話ですが、現場の行員(支店)や銀行本部でどのようなやり取りがなされ、どうプロパー融資の判断がされているのか等、融資全般に関する現場の生の声が書いてある非常に貴重な本です。
この本で学べることは、
・融資の必要性
・銀行という組織について(行員の考え、内部事情など)
・銀行内部での融資審査の流れ、評価方法
・銀行に提出すべき書類
・格付け評価(評価方法、改善案など)
・著者の融資開拓方法
などです。
特にこの本の良いところは、初心者でもわかるように丁寧に書かれているところです。
正直、これまでに紹介した本は初心者に辛い部分も多いですが、わかりやすく解説されているので、おススメです。
たった4年! 学生大家から純資産6億円を築いた私の投資法 借りて増やす技術
こちらの本は、不動産投資に関する本ですが、低属性でもいかに融資を獲得するのが具体的なノウハウが記載されています。
著者の石渡浩さんは、この本を出版した時点で20の民間金融機関と取引しており、全く関係性のないところからどうやって高額融資を引き出すのか、手順を追って説明してくれています。ここまで具体的に書かれている本は、今まで見たことがありません。
こちらの本で学べるのは次のような内容です。
・金融機関の探し方(特定の地域内で探す方法)
・金融機関との付き合い方
・初回取引の金融機関でどうやって取引を開始すればいいのか
・付き合うべき金融機関の選び方
・保証協会付き融資の利用方法
・銀行とのオプション取引 など
多くの内容が不動産投資に関連しているものなので、不動産投資家にとっては熟読しておきたい内容です。
不動産投資家でない方でも、融資獲得の方法は共通しているので、参考になる部分が非常に多いと思います。
2012年の本で少し古いけど、大丈夫なの?
融資情勢が変わっている部分もありますが、銀行開拓方法については今でも全く変わっていませんよ
自分が融資開拓をしていて感じること
最後に、本の紹介ではありませんが、自分自身で融資開拓を続けていて感じたことをご紹介します。
必ずしも本の通りにはいかない
1つ目は、現実は本内容通りにはいかないということです。
僕は融資に関する様々な本を読み、そして何度も色んな金融銀行にアタックしました。
ある本を見ると、「保証協会付きで不動産を担保にするのは過剰な保全だから断れ!」と書いてあり、実際にその通りに交渉してみたところ、銀行員は少し困った反応をしていました。
そして、最終的には融資を断られました。
また、ある本では、「現在は『担保・保証に必要以上に依存しない融資』が基本だから、連帯保証や担保は簡単に外せる」と書いてありましたが、現実には担保がなければ少額であっても簡単に融資はしてもらえません。
「不動産賃貸業は運転資金不要だから借りられない」、「資金使途が重要だからよくわからない融資はできない」といった話もありますが、明らかに資金使途としてはブラックでしたが、支店長の粋な計らいでプロパー融資を受けたこともあります(金融機関内でどう稟議したのかはわかりません)。
よくも悪くも現実にもっと複雑で、本の通りにやって大恥をかくことだってあります。
必ずしも本の内容が現実の全てではないということです。
自分の経験だけではわからない部分が多すぎる
2つ目は、先ほどとは真逆ですが、本を読まなければ知りえない情報が山のようにあります。
銀行融資に関しては、融資審査を申し込んだ後、どのように審査をされているのかは全く分からず、しかも最終的に知らされる結果も、真実を話しているのかすらわかりません。
また、決算書のどこ改善したら評価が上がるとか、そもそもどんな評価をしているのかなどは一切教えてもらえません(銀行員も評価がブラックボックス化して理解できていないこともあると思います)。
そんなときに役立つのが書籍です。
今回紹介した本の著者には元銀行員の方や、何度も銀行と交渉してどうしたら融資を受けやすいのか経験豊富な方もいます。
全てが本の通りに進むわけではありませんが、書いてある内容は事実で、知識があるかどうかだけで審査を有利に進めることもできます。
まずは今回紹介した本を読んで勉強し、そして実践で経験を積んでください。
読書って大事なんだね
本を頑張って書いてくれた人には感謝しかありません。本当にありがとうございます
まとめ
本記事では、銀行融資に関するおすすめの本を6冊厳選してご紹介しました。
融資を受けるためには、銀行の内部事情を理解し、それに沿った形で融資を申し込むことです。
格付け(スコアリング)の改善は、すぐには改善できないものもありますが、内容を理解していれば時間をかけて評価が高くなるに事業運営していくこともできます。
ぜひそれぞれの本をじっくり読んで、資金調達を頑張ってください!