「再建築不可物件」を融資で購入する方法

再建築不可

不動産投資に適した物件を不動産情報サイトなどで探していると、「再建築不可」と書かれた物件をよく見かけます。
再建築不可の物件は、築年数など条件が同じ他の物件よりも安く利回りも高いので、買ってもいいのかと悩まれる方も多いと思います。
そこで、今回は再建築不可の物件が不動産投資に適しているのか、融資付けはどうするのか等、自分自身の経験談を交えて紹介していきます。

ぶたどん
ぶたどん

私は2020年と2021年に再建築不可の物件を購入しました。どちらも資金調達に成功し、自己資金をほとんど出さずに購入できました。

目次

再建築不可物件とは

再建築不可物件とは、法律上、現在の建物を壊したら新しい建物を建築することができない物件のことです。
例外もありますが、一般的に以下の条件のいずれかに当てはまると、再建築不可になります。

  • 接道2m未満
  • 建築基準法上の道路に面していない

建築基準法の第43条「接道義務」で定められており、建築物の敷地は、原則として幅員が4m以上の道路に2m以上接していなければならない、と定められています。

(敷地等と道路との関係)
第四十三条  建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。

建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)

ここでの道路とは、建築基準法上の道路のことで、原則として公道などの幅員4m以上のものをいいます。
ただし、例外的に幅員4m未満の道路でも、建築基準法の道路(2項道路、みなし道路など)とみなされる場合があります。
これらの道路に2m以上接していない敷地には、原則として建物を建てることができません。

再建築不可物件は、不動産投資の対象として適しているのか

結論から言うと、全体のバランスを見ながらであれば投資戦略に組み込むのはアリだと考えます。

私自身は、基本的に市街化区域で積算評価が出る物件のみを絞って買っていますが、たまたま売買条件が良かったこともあり、2020年と2021年に再建築不可の物件を金融機関から融資を受けて購入しました。

再建築不可を購入するかどうか一番悩んだのが、『出口戦略』と『融資付け』をどうするのかでした。
実際、どう考え、対処したのかご紹介していきます。

へそ太郎
へそ太郎

どんな物件だったの?

ぶたどん
ぶたどん

数年間で投資資金を回収できそうな高利回りの物件でした!ただ、自分の投資方針とは明らかに反していたのでどうすべきかは悩ましかったです。

再建築不可物件の出口戦略は?

不動産投資の出口戦略としては、売却して短期保有とするか、売却のことは考えずに長期保有するかの2通りに分かれます。
再建築不可の物件でどう考えるか、ご紹介します。

短期保有を前提とする不動産投資法

出口戦略① そのままの状態で売却する

一番単純な出口戦略は、購入したときと同じ状態でそのまま売却することです。

再建築不可の物件は間違いなく買い叩かれるため、最初から買い叩かれても問題ない価格で自分が買っておくことがリスクヘッジになります(自分も買い叩きました)。
相場からかけ離れた安値で売ったとしても自分がその売買価格より安く仕入れておけば売却時に損はせず、投資期間全体で見れば家賃収入の分だけプラスになります。
再建築不可に関係なく他の物件でも同様ですが、売却価格から考えて損しない価格で買っておけば、出口戦略はどうにでもなります。

長期保有を前提とする不動産投資

不動産投資はキャピタルゲイン(売却益)よりもインカムゲイン(家賃収入)に期待するのがセオリーですが、再建築不可物件も他の通常の物件同様です。

出口戦略② リフォームする

再建築不可だったとしても、リフォームは可能ですので、柱のみを残して新築並みにきれいに直すことも十分に可能です。
他のボロ物件同様に、直しながら長期保有を前提とすれば、最後は無料で譲渡したとしても特に問題ありません。

出口戦略③ 再建築する

そのままでは再建築不可だったとしても、隣地から土地の一部を借りる又は購入することができれば再建築が可能になります。
これは隣地との交渉次第ですが、うまくいけば通常土地として高値での売却も可能となります。

出口戦略まとめ

出口戦略③の再建築を可能にできるかどうかは隣地所有者次第なので、運の要素が大きく、あまり期待するべきではありません。

そのため、基本的にはそのまま売却できる価格で買えれば、保有中のインカムゲインに期待でき、不動産投資として成立します。

また、長期保有を前提とした場合でも、建物をずっとメンテナンスして運営できれば、不動産投資として十分に成立します。

短期でも長期でも出口戦略でうまくいくことを考えると、安く買えさえすれば問題なしかと考えます。

再建築不可の物件で融資を受けるには

銀行

再建築不可の物件は基本的に融資を受けにくく、現金購入が前提となる場合が多いです。
しかし、現金購入だと内部収益率IRRが低くなり、不動産投資のメリットを最大限に活かすことができません。
そこで、私が実際に再建築不可の物件を購入するために金融機関と交渉した結果を紹介します。

融資付けを行った物件のスペック
  • 北関東で賃貸中の戸建て
  • 耐用年数オーバー(旧耐震)
  • 4m公道に約1.8mの接道(再建築不可)
  • 売買金額:約300万円

ノンバンクへ融資打診した結果

三井住友トラストL&F

三井住友トラストL&Fは、再建築不可物件も取扱い可能なので、不動産投資には欠かせない金融機関の1つです。
耐用年数を超えている物件に対しても長期融資が可能なので、再建築不可の場合には三井住友トラストL&Fが使えたら一番ベストかと思います。

しかし、私の場合は一都三県の物件ではなく、価格も低いことから取り扱いはできないとの回答でした。
三井住友トラストL&Fの場合には、基本的に700~800万円以上でないと取り上げてもらえず、関東では基本一都三県に限られます(東京から電車でアクセスしやすいエリア(つくばエクスプレス等)は取扱い可能です)。

担当者から詳しく教えてもらったところ、例外的にエリア外でも取り扱いは可能とのことでしたが「エリア外」+「融資金額が低い」+「再建築不可」の今回の物件は、手間がかかるだけなので扱いたくないとのことでした。
三井住友トラストL&Fが扱いたくなるような物件(都心部に近い、高額)であれば、再建築不可の物件でも十分融資は可能です。
金利も他のノンバンクに比べて低く2.9~4.4%程度です。

ちなみに、投資家のパート主婦大家さんの「舛添菜穂子さん」は、千葉県で三井住友トラストL&Fを利用して再建築不可物件を購入しているようです。
詳しくは著書を見てみてください。

セゾンファンデックス

セゾンファンデックスも再建築不可物件を取扱い可能です。

セゾンファンデックスの融資エリアは一応全国が対象となっており、投資用不動産購入の場合、金利は3.6%ですが、三井住友トラストL&Fに比べると融資額が伸びずに、自己資金の割合が必然的に高くなります。

今回の北関東物件に対するセゾンファンデックスの回答は、取り扱いはできないとのことでした。
担当者にしつこく理由を聞いてみましたが重要な内容は一切教えてもらえず、三井住友トラストL&Fと同様に、手間かかるだけなので扱いたくないようでした。

別の再建築可能な北関東の物件をセゾンファンデックスに打診した際には、自己資金の割合が高かったですが、一応融資は可能との回答だったので、エリアがダメというわけではなく、総合的に嫌だということのようです。

その他、ノンバンク

ローリング(しらみつぶし)作戦で、有名なノンバンクを上から順番にひたすら電話相談してみました。
ほとんどのノンバンクは関東で一都三県ではないということで取扱い不可で、一部融資可能というノンバンクもありましたが、金利12%で融資期間は5年間等、かなり足元を見られました。

ある程度、都心部であればノンバンクで融資も使いやすいですが、田舎の再建築不可ボロ戸建てという場合には、ノンバンクは使いにくいという結果でした。

銀行、信金へ融資打診した結果

都市銀行

基本的に、再建築不可・耐用年数オーバーは取扱い不可です。
聞くまでもなく対象外なので問い合わせしていません。

地元の地方銀行、第二地方銀行

エリア内で耐用年数オーバーの物件を扱ってくれる地方銀行へ相談しましたが、再建築不可物件は取扱い不可でした。

後述するフリーローンでも取り扱いできないとの回答でした。

地元の信用金庫

エリア内の信用金庫へ相談したところ、保証協会付やプロパー融資、アパートローンなどの場合には、再建築不可物件は取扱い不可でしたが、フリーローン(ビジネスローン)であれば融資可能とのことでした。
法人向けと個人事業主向けのフリーローンがありましたが、今回は個人事業主向けのフリーローンを利用して融資を受けることにしました。
フリーローンの場合には通常の融資と異なり、パッケージに当てはめるだけなので、金利が少しでも良くなるようにサラリーマンの属性を利用できる個人事業主向けのローンを選択しました。

結果、金利5.8%融資期間7年で、売買価格の85%を融資可能となりました。

再建築不可物件に対する融資のまとめ

再建築不可物件の場合には、ノンバンクもしくは銀行のフリーローンであれば融資可能です。

都心部や高額の物件なら、三井住友トラストL&Fを使えば融資可能です。
田舎で格安物件の場合には、銀行や信用金庫等のフリーローン(ビジネスローン)であれば融資が可能です。
ただし、銀行によっては、フリーローンでも再建築不可物件は取扱い不可というところもあるので、何行も当たってみると良いと思います。

再建築不可物件での不動産投資はどうなのか

条件さえ良ければ再建築不可物件も不動産投資として十分にアリです。

再建築不可物件は、他の物件に比べて利回りが高くなるので、多少融資の金利が高くても返済比率は低くなります
私の場合は、田舎のボロ物件だったので、フリーローンを使って『金利5.8%、期間7年』と通常の不動産投資なら成立しない大変厳しい融資条件でしたが、単純にそのまま売却も可能な価格(高利回り、高積算(接道できれば))で物件を購入ために、『金利5.8%、期間7年』の条件でも返済比率は50%以下でした

実際に、三井住友トラストL&Fなどのノンバンクを利用し、再建築不可物件ばかりを狙っている有名な不動産投資家もいます。
再建築不可物件は銀行からの評価は正直良くありませんが、高利回りになるのでノンバンクとの相性も良く、それだけでサラリーマンを辞める規模まで物件を増やし続けることも可能です。

私自身、再建築不可物件に手を出すまでは、市街化区域の高積算物件に限定していましたが、実際に購入してみると投資全体のバランスを考慮して組み入れるのもありかなと考えています(あくまでも一部として)。
再建築不可の物件を購入するしないに関わらず、自分の投資エリアでノンバンクは利用可能か、銀行のフリーローンは利用可能かを事前に確認しておくと良いと投資の幅も広がって良いかなと思います。

(おまけ)再建築不可物件の裏技的融資方法

最後に強引な手法ですが、再建築不可物件で融資を受ける裏技をご紹介します。

それは地銀や信金から運転資金として借りることです。

一般的に、不動産賃貸業は運転資金が不要な業態と整理されており、運転資金は大変借りにくいです。
ただし、借りにくいだけであって、運転資金として借りなければならない理由付け(資金使途)ができれば、借りることはできます。

私は地銀と信金から運転資金という名目で融資を受けており、あくまでも『運転資金なので物件購入には使っていませんが、運転資金に近い額の物件を自己資金で購入』しています。

単純に運転資金を借りたいと申込をするとNGな場合が多いので、銀行への見せ方にコツが必要ですが、そういった方法もあると覚えておいてください。

まとめ

本記事では、債権不可物件を融資で購入する方法をご紹介しました。

要点
  • 再建築不可物件に投資するときは、その出口戦略として売却するか、リフォームして長期保有するかが考えられます。
  • 売却する際には、買い叩かれる可能性が高いので、それでも損しない価格で購入することが最大のリスクヘッジになります。
  • 再建築不可物件でも、都心部に近ければノンバンクを利用して融資を受けられます。もしノンバンクが使えないエリア、価格帯であっても、信用金庫等のフリーローンを利用すれば融資を受けられます(金融機関によってはフリーローンでも不可の場合もあります)。
  • 再建築不可という条件のため、他の物件よりも高利回りなので、全体のバランスを見ながら選択肢と考慮しても良いかと思います。
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この記事を書いた人

大家歴7年目の夫婦(専業主婦の妻ぶたどんとサラリーマンの夫たろー)です!管理人の詳しいプロフィールはこちらです。

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