傾いた物件は買ってもよいのか!?条件によってはお買い得かも!

傾いた女性

物件探しをしているとパッと見きれいな物件が、「傾きあり」と注意書きされて売られていることがあります。
傾いた物件は不動産投資の対象としては「あり」なのか、「なし」なのか、その疑問に答えていきます。

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傾きの原因は何か

物件の傾きは、地盤が原因の場合と、建物が原因の場合があります。

地盤による傾き

地盤沈下

軟弱地盤の上に建てた場合や、山や丘を造成して切土と盛土の境界をまたぐ形で家が建てられた場合など、地盤が均一に沈まずに「不同沈下」という偏った沈み方をすることがあります。
均一に沈下すれば何も問題はありませんが、一部分の地盤のみが沈下することで、その上に水平に建っていた建物は傾いてしまいます。

建物による傾き

古い家

地盤が問題なかったとしても建物自体が傾いていることがあります。
建物自体のバランスが悪いことや、構造部材や下地材の劣化や腐食が原因で建物全体や一部だけに傾きが生じることもあります。

どうやって傾きを確認するのか

ビー玉を置いて転がるかどうかでの判断は有名ですが、実際の物件調査ではビー玉での判断は正直微妙です。
築古戸建てだと床材が劣化して部分的にたわんでいる場合も多く、ビー玉が転がったとしても、レーザー水平器で正確に測ってみると意外に問題ない場合が多いです。
むしろビー玉の転がらない家の方が少ないくらいです

物件の現地調査で建物の傾き具合を判断する方法は以下の4つです。

傾き確認① 基礎や外壁のひび割れ

基礎のひび割れの大きさで判断します。
ヘアークラックという髪の毛の細さ程度のひびであれば問題ないと言われますが、それより大きいひびがある場合は、どこか傾きが発生している可能性が高いです。

ただし、築40年超えの家を見ると、基礎のひび割れがない家の方が少ないです。

傾き確認② 窓や扉が開閉しにくくなっていないか

建物が傾ていると扉や窓がしっかりとしまらなくなります。
ゴミがつまっている場合などもありますが、動くものは全部動かしてみることが大事です。

傾き確認③ 水平器

なんとなく怪しいと思ったら、最終的には水平器を使って正確に測定します。
スマホのアプリや、小さい水平器もありますが、設置した床のたわみを拾ってしまい、ビー玉と同様に築古物件だと役に立たない場合が多いです。

おススメなのは、レーザー水平器メジャーを使って測定する方法で、部屋の真ん中にレーザー水平器を設置し、離れた2点間の距離と床からの高さと測るだけで傾きを測定できます。
レーザー水平器は高そうなイメージですが、ネットだと意外に安価で、かつ高い精度で測れるのでオススメです(不動産会社の人にもプロっぽく見られ、はったりがきくので、説得力のある指値ができるようになります)。


もっと安価に「下げ振り錘」という重りを糸で垂らして測る方法もありますが、揺れて測りにくく、2人でも結構大変です。
私たちは最初ケチって下げ振り錘を購入しましたが、揺れてて全然傾き具合がわからない上に、時間もかかってしまい、完全に安物買いの銭失いでした。
素人だからこそ、最初から高精度で手軽に測れるレーザー水平器が間違いなくおススメです。

傾き確認④ 自分の直感

意外と馬鹿にできないのが、自分の直感です。
実際に経験するとすぐにわかりますが、傾いた家に入ると何か違和感を感じます。
違和感を感じたときには、その家は結構傾いています。

ひどい傾きの家に入っていると、頭が痛くなって気持ち悪くなるので、もはや測るまでもありません。

傾いた物件は買っても良いものか

考える

軽い傾きの場合(傾き4/1000程度まで)

まずどの程度の傾きかで判断します。
一般的な話として、建物の傾きには「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」で以下のように定められています。

<3/1000未満の勾配の傾斜
  構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が低い。
<3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜
  構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が一定程度存する。
<6/1000以上の勾配の傾斜
  構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高い。

実際に測ってみるとわかりますが、築古で傾きゼロという物件はほとんどありません。
若干は傾いていても傾きが3/1000未満であれば問題ないので、傾きなしと判断します。

また、傾きが3/1000~4/1000程度の物件も多いですが、この程度だと傾斜はほとんど感じないので、不動産投資としてはそのまま使えるレベルです。
ただし、そのまま使えるとは言っても若干の瑕疵がある状態なので、傾きを根拠に土地値以下の大幅な指値をして高利回り物件になる可能性もあります

ひどい傾きの場合

傾きが4/1000を超えてくると、自分自身でも違和感を感じるレベルで、いわゆる「傾きあり」の物件になります。
傾いた物件の投資判断についてはボロ物件投資家として有名な脇田雄太さんの意見が大変参考になります。
脇田雄太さんの考えとしては、「傾いた物件は基本的に購入すべきではない」とは言っていますが、その理由としては

「床の傾き」は、購入後のリフォームでは、抜本的な対策を行うことができないケースがほとんどだからです。
より正確にいえば、技術的に抜本的な対策を行うことは可能でも、コストがかかりすぎて投資として成立しなくなってしまうのです。
では、「脇田は床の傾いた物件は購入しないのか?」というと、矛盾するようですが、決してそんなことはありません。  

出典:リスクと闘う不動産投資 脇田雄太


詳細は著書を読んでいただきたいのですが、脇田さんが「傾きあり」でも買っていい条件にあげているのは、以下の全てを満足する物件です。

  1. 表面的な大工工事でその場しのぎが可能
  2. 拡大する見込みが低い
  3. 超お買い得の物件
  4. 木造の物件

傾き有の購入条件1 表面的な大工工事でその場しのぎが可能

まず物件の傾きを直す方法としては色々な方法がありますが、比較的安価な方法としては、基礎と土台を切り離しして土台をジャッキアップする土台上げ工法や、基礎の下を掘削して耐圧版という板を設けて基礎ごと建物をジャッキアップする耐圧盤工法といった工法があります。
どちらも安価とはいいつつも、それでも数百万単位のリフォーム費用が必要になります。
つまり抜本的な傾きの修正は、不動産投資としては行うべきではなく、それをするくらいなら別の物件を購入するべきです。
現実的に投資として成り立つ範囲で対策を考えると、表面的に床だけを水平にするという方法があります。
これであれば大工工事にひと手間加わるだけなので、通常の床の工事から数万円高くなる程度で済みます。
建物全体の傾き自体は直りませんが、床が水平であれば意外と傾きも気にならなくなります。

傾き有の購入条件2 拡大する見込みが低い

傾きを直したとしても、傾きが進行していくようであれば直してもすぐに使えなくなってしまいます。
そのリスクを避けるためには、傾きが拡大しないことを確認しなければいけませんが、この判断は難しいです。
ホームインスペクターなど専門家に見てもらうということも1つの方法ですが、例えば、

  • 昔のこの土地は何だったのか(水田や川などだと危ない)
  • 近隣の物件はどうなのか(自分の物件だけなのか、地域全体なのか)
  • 物件全体のバランスを見てみる(建物の重心が偏っていないか)

といった状態を確認し、総合的に判断をします。
なお、過去の地図は過去の地図は、以下のサイトで見ることができます。

歴史的農業環境閲覧システム https://habs.dc.affrc.go.jp/

傾き有の購入条件3 超お買い得の物件

傾きのある物件の場合、いくら表面的に直せるといってもまた傾いてダメになる可能性もあります。
投資資金を回収できなくなるリスクを考えると、それに見合った高利回りの物件でなければ手を出すべきではありません。
傾きありの場合は、建物の価値は基本的にマイナスで、解体費に加えて、問題のある地盤として更に大幅な指値が通る可能性もあります。
激安で購入でき、必要なリフォームを考慮してもお買い得になるのであれば、検討の余地ありです。

傾き有の購入条件4 超お買い得の物件 木造かどうか

木造であればある程度自由に安価で傾きを直せますが、木造以外の構造だと構造部の修正は桁違いの金額になります。

傾き有物件を購入した体験談

私自身も築50年超の傾いた木造戸建ては購入していますが、表面的な大工工事で仕上げた結果、所有物件の中では一番の稼ぎ頭になっています。

直す前は室内にいると気持ち悪くなるレベルでしたが、床を水平にしただけで全く気にならない仕上がりになっています。
ただ一番稼いでるとはいっても、次もまた買うのかと言われれば積極的には買いたくないので、その物件次第としか言えません。

私たちのやったリフォームや体験談は、以下で紹介しているので見てください。

まとめ

本記事では、傾いた物件の判断方法と、不動産投資の対象として傾いた物件はありなのかどうか紹介しました。

【要点】

  • 傾きを判断するためには、基礎のヒビ、サッシの状況、レーザー水平器、直感を使って判断していきます。
  • 緩い傾きの場合にはそのまま使用しても問題ありませんが、気持ち悪くなるような傾きの場合には、本当に買うべきかよく検討した方が良いです。
  • 基本的には傾いた物件を買うべきではありませんが、条件次第では安価な大工工事だけお得な物件に化ける可能性もあります。

表面的な傾きを修正する大工工事であれば、「床だけ水平にしてください」と頼むだけで、驚くほど安く素早く直せます。

ボロ物件投資家としては一度やってみるとかなりの経験値を積めるので、激安(失敗するリスクに備えて、建物をそのまま解体して転売しても利益が出る価格)で購入できる機会があればやってみるのも良い経験だと思います。

誰にも勧められるものでありませんが、傾きありでも不動産投資として成立する場合もあることを頭に入れておくと、不動産投資の幅も広がると思います。