不動産鑑定士は不動産投資に必要か

不動産鑑定士猫

不動産投資をする上で土地の評価などはとても重要です。
その評価をしている不動産鑑定士という資格は不動産投資をする上で必要なのか必用ではないのか、不動産鑑定士の内容をよく知り、検討していきましょう。

目次

資格の概要

不動産鑑定士とは、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき制定された国家資格で、幅広い知識をもとに不動産の「適正な価値」を評価します。
不動産の鑑定評価だけでなく、土地の有効利用なども考慮したコンサルティング業務も行います。
不動産鑑定士は、その難易度の高さから「司法試験」、「公認会計士」と並ぶ三大国家資格としても挙げられています。
不動産鑑定士の独占業務は不動産の鑑定評価であり、不動産鑑定士以外の者が不動産の鑑定評価を行えば、刑事罰の対象となる。

不動産鑑定士の取得方法

不動産鑑定士
どうやったら不動産鑑定士を取得できるのでしょうか?
試験について詳しく見てみましょう。

試験内容

短答式試験(択一式)

1.不動産に関する行政法規
次の①に掲げる法律を中心に、②に掲げる法律を含む(関係する施行令、施行規則等を含む。)。
① 土地基本法、不動産の鑑定評価に関する法律、地価公示法、国土利用計画法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、建築基準法、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(建物の区分所有等に関する法律の引用条項を含む。)、不動産登記法、土地収用法、土壌汚染対策法、文化財保護法、農地法、所得税法(第1編から第2編第2章第3節までに限る。)、法人税法(第1編から第2編第1章第1節までに限る。)、租税特別措置法(第1章、第2章並びに第3章第5節の2及び第6節に限る。)、地方税法
② 都市緑地法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、宅地造成等規制法、宅地建物取引業法、自然公園法、自然環境保全法、森林法、道路法、河川法、海岸法、公有水面埋立法、国有財産法、相続税法、景観法、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、不動産特定共同事業法(第1章に限る。)、資産の流動化に関する法律(第1編及び第2編第1章に限る。)、投資信託及び投資法人に関する法律(第1編、第2編第1章及び第3編第2章第2節に限る。)、金融商品取引法(第1章に限る。)
2.不動産の鑑定に関する理論
不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

論文式試験

1.民法
民法典第1編~第3編を中心に、第4編及び第5編並びに次の特別法を含む。借地借家法、建物の区分所有等に関する法律
2.経済学
ミクロ及びマクロの経済理論と政策論
3.会計学
財務会計論(企業の財務諸表の作成及び理解に必要な会計理論、関係法令及び会計諸規則を含む。)
4.不動産の鑑定に関する理論
不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項

出典:国土交通省 土地・建設業

試験方法

  • 短答式試験(マークシート)
  • 論文式試験

受験資格

年齢、学歴、国籍、実務経験等に関係なく受験できます。
論文式試験は、短答式試験に合格する必要があります。また、短答式試験に合格した者は、当該短答式試験の合格発表の日から起算して2年を経過する日までに行われる短答式試験が免除されます。

開催時期

  • 答式試験・・・・5月の第2日曜日
  • 論文式試験・・・8月の第1日曜日を含む土・日・月曜日の連続する3日間

受験料

  • 電子申請の場合・・・・12,800円
  • 書面申請の場合・・・・13,000円

合格率

短答式試験の合格率は30%前後で、論文式試験の合格率は14%程度となっています。

実施年 短答式受験者数 合格者数 合格率 平均年齢 論文式受験者数 合格者数 合格率 平均年齢
2006年 4,605名 1,106名 24.0% 33.3歳 912名 94名 10.3% 29.8歳
2007年 3,519名 846名 24.0% 34.8歳 1,164 120名 10.3% 29.9歳
2008年 3,002名 678名 22.6% 34.7歳 1,308 132名 10.1% 31.4歳
2009年 2,835名 752名 26.5% 35.0歳 1,308 124名 10.1% 32.9歳
2010年 2,600名 705名 27.1% 35.8歳 1,130 106名 9.4% 30.6歳
2011年 2,171名 601名 27.7% 36.5歳 1,038 117名 11.3% 32.1歳
2012年 2,003名 616名 30.8% 36.7歳 910 104名 11.4% 34.7歳
2013年 1,827名 532名 29.1% 38.2歳 812 98名 12.1% 34.6歳
2014年 1,527名 461名 30.2% 39.3歳 745 84名 11.3% 35.9歳
2015年 1,473名 451名 30.6% 39.0歳 706 100名 14.2% 35.3歳
2016年 1,568名 511名 32.6% 37.8歳 708 103名 14.5% 35.0歳
2017年 1,613名 524名 32.5% 38.6歳 733 106名 14.5% 32.8歳
2018年 1,751名 584名 33.4% 38.3歳 789 117名 14.8% 35.8歳
2019年 1,767名 573名 32.4% 38.7歳 810 121名 14.9% 34.3歳

出典:Wikipedia

不動産投資との関係

不動産鑑定士は不動産投資とはどのような関係があるのでしょうか?

資格がないとできないこと

不動産鑑定士の独占業務は、不動産の鑑定評価です。
不動産投資をやっていて不動産鑑定士の方に直接お世話になる機会は稀だと思いますが、毎年公表される地価公示価格などは不動産鑑定士の成果です。

取得するメリット

自分が売買する不動産の価格について強くなれるという利点はあります。

取得するデメリット

取得するためには膨大な勉強時間が必要となります。
最低でも2,000時間と言われているので、毎日5時間勉強しても1年~1年半程度は必要になる計算です。

不動産投資のために取得した方が良いのか

どのように不動産の価格が形成されるのかを知るという意味では価値がありますが、不動産投資の実務としてはほぼ役に立ちません。

適正価格がわかれば割安かどうか判断できますが、どんなに適切に評価された評価額があったとしても、不動産取引はあくまでも当事者間の相対契約なので、評価値は参考値でしかありません

また、不動産鑑定士が評価する価格は、理想的な条件下(売り急ぎ等はない、慎重かつ賢明に予測し行動する等)での評価額であり、現実は不合理な条件下での取引を行います

不動産投資としては、その不合理な条件を逆に利用し、不動産鑑定士が評価した公示価格などの参考値を、いかにうまく使いこなすかということの方が重要です。

不動産鑑定士の資格を取得するために長時間を費やすのであれば、不動産投資家としての価格の評価方法を学び、どんどん実践を経験していく方が投資家としては有益かと思います。
(不動産鑑定士という仕事をやりたいのであればもちろん別ですが。)

おススメ度

星1つ

不動産投資のために苦労して資格を取る意味はないでしょう。
なお、不動産鑑定士の専門書ではありませんが、概要を掴むという意味で一読の価値はあります。

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この記事を書いた人

大家歴7年目の夫婦(専業主婦の妻ぶたどんとサラリーマンの夫たろー)です!管理人の詳しいプロフィールはこちらです。

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