債権仮差押えという手続きを弁護士を一切利用せずに自分でやってみました。
債権仮差押えとは何なのか、どうやってやるのかなど、実際にやってみた手順や体験談を紹介します。
債権仮差押えが必要になる場面は少ないと思いますが、こんな方法もあるんだなと可能性を知っていただけると幸いです。
債権仮差押えに至る経緯
滞納と返済と言い訳を繰り返していた若い女性入居者がいました。
保証会社が頻繁に家に来るので、恐くて外に出られません。だから働きにいけないんです。ここを追い出されたら住むところもご飯もありません。死んじゃいます。
どこまでが真実かもわかりませんが、入居者さんも辛いのかなと思い、保証会社へは、『本人に払う意思があるので訴訟は少し待ってほしい』と何度もお願いしていました。
保証会社からは散々文句や脅しも言われていましたが、困っている入居者のためにと思ってギリギリまで粘っていましたが、ある日入居者は夜逃げしました。
警察立ち合いで室内の安否確認を行いましたが、こちらに恨みでもあるのかなというくらい室内は悲惨な状態でした。
ペット禁止物件でしたが、猫の爪痕でズタズタ、洗面化粧台は破壊され、床は猫の糞と食べ物をまき散らしてあり、徹底的に汚くして夜逃げされたようです。
夜逃げとはいいつつもなぜか本人と連絡はとれていたので、訴訟せずに明渡しになりました。
保証会社を利用していたので残置物の処分や修繕費の一部は保証会社から立替てもらえましたが、それでも原状回復費としては足りませんでした。
本人に原状回復費を請求すると、
キャッシュカードをなくしてしまい、再発行に時間がかかるからちょっと待ってください・・。
『コロナ』、『出張』、『紛失』、『体調不良』など色んなパターンの言い訳を繰り返し、最終的には着信拒否+LINEブロックで音信不通に。
本人の引越し先住所もなぜか教えてくれていたので、直接引越し先を訪ねて請求書を投函すると、
着信拒否していません!試してみてください!
散々入居者のためと思ってかばってきましたが、最後はこれかという怒りもあり、やれることをやってみようと決断しました。
ただし、そうはいっても弁護士を使ったら数十万円と回収額以上にお金がかかってしまうので、勉強もかねて自分で色々やってみようと思い、訴訟と並行して債権仮差押えというものをやってみました。
少額訴訟については、こちらの記事で紹介しています。
債権仮差押えとは?
債権の仮差押えとは少し難しいですが、以下の裁判手続きことです。
債権の仮差押えとは、民事保全手続(裁判手続)の一種で、債権者の将来の金銭債権の実現を確保するために、当該金銭債権の現状を維持(保全)するものをいいます。
引用:近江法律事務所
通常、金銭債権を実現しようとすると、訴訟(本訴)を提起して、金銭の支払を命ずる判決(債務名義)を取得したうえで、強制執行をすることが必要になります。しかし、判決を取得するまでには、ある程度の時間を要しますので、その間に、債務者が当該金銭債権を自分で回収するなどし、せっかく時間をかけて判決を取得したとしても、いざ強制執行をしようとしたときには、既に、お目当ての金銭債権が存在せず、強制執行が空振りに終わってしまうという事態が想定されます。そのような事態に陥らないよう、暫定的に、債務者が当該金銭債権を処分することをできなくしてしまうというのが、債権の仮差押えなのです。
ん?これは日本語かな・・?債権?強制執行?・・・眠くなってきた。
簡単に説明すると・・
お金を貸した人が借金を回収する最終手段として、国の権力で強制的に財産を没収して返済させる手続きがあり、これを強制執行といいます。
強制執行をするには、間違いなくお金を貸して、相手は返してしないという証拠(これを債務名義といいます)が必要になります。
この証拠としては、裁判所の判決(確定判決、仮執行宣言付判決など)や仮執行宣言付支払督促など色んな方法がありますが、裁判所の判決を得ようとするとどんなに早くても月単位の時間がかかります。
それを待っている間に、相手がお金を使い込んでしまったら、
どこにもお金ないんで返せませーん。
とれるもんならやってみろ!
となってしまい、回収するすべがなくなります。
そういった事態を防止するために、相手にバレないうちに銀行口座を凍結(お金を引き出せなくする)するなど強制的に返済原資の処分を禁止させる手続きを債権仮差押えといいます。
(仮差押命令の必要性)
引用:民事保全法(平成元年法律第九十一号)
第二十条 仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2 仮差押命令は、前項の債権が条件付又は期限付である場合においても、これを発することができる。
債権仮差押えの手順と体験談
ではここから債権仮差押えの手順と、自分でやってみた体験談を紹介します。
なお、そもそも債権仮差押えができるのかどうか全くわからない、調べるないというときには、無料弁護士相談で方針だけでも相談すると良いです。
可能性さえわかれば自分の手で実行可能です!
手順① 差し押さえる財産を探す
え?宝探しをするの?
差し押さえできる財産は、動産(貴金属など)、不動産、債権(預金など)などいくつか種類がありますが、動産を除いてその差し押さえる対象を指定しなければなりません。
(仮差押命令の対象)
引用:民事保全法(平成元年法律第九十一号)
第二十一条 仮差押命令は、特定の物について発しなければならない。ただし、動産の仮差押命令は、目的物を特定しないで発することができる。
預金を抑えるときには、『どこの金融機関のどこの支店を利用しているか』までわからないと差し押さえはできません。
私のケースでは、相手は滞納して夜逃げをするような方で不動産や多額の現金には期待できませんでしたが、保証会社の口座振替サービスを利用していたこともあり、相手の金融機関だけは把握していたのでとりあえずその口座を仮押さえの対象にしてみました。
敷金返還請求権(預けた敷金を返してもらう権利)や動産の仮差押えという選択肢もありましたが、複数記載するときのフォーマットがなく、まずは1つだけのパターンで成功させようと思い、銀行預金に絞りました。
手順② 管轄を確認する
カンカツ・・?
これはトンカツの仲間かな。
私はヒレカツが好きですよ!
裁判をしようと思ったとき、どこの裁判所でもできるわけではありません。
どこの裁判所を利用できるのかは事件によって異なり、これを裁判所の管轄といいます。
もし間違った裁判所を選んで訴状を提出するとその後面倒なことになります(実際やりました)。
仮差押えの管轄については民事保全法と民事訴訟法という法律の中で定まっています。
(保全命令事件の管轄)
引用:民事保全法(平成元年法律第九十一号)
第十二条 保全命令事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
(普通裁判籍による管轄)
引用:民事訴訟法(平成八年法律第百九号)
第四条 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
2 人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により定まる。
4 法人その他の社団又は財団の普通裁判籍は、その主たる事務所又は営業所により、事務所又は営業所がないときは代表者その他の主たる業務担当者の住所により定まる。
なんだか難しいことが記載されていますが、要は『基本的には相手の住所で決まる裁判所が管轄』ということです。
裁判所のHPを見ると、どこの市はどこの裁判所と記載されています。
ちなみに、相手の住所以外でも合意管轄(当事者間で合意した場所。賃貸契約書だと大抵物件所在地や大家の所在地が合意管轄として定められています)や事件の訴えにより異なる管轄が指定されるときもあります。
自分の事件の管轄がどこになるのか、事前に裁判所へ確認してから提出しましょう。
(参考)管轄違いで失敗
私のケースでは『原状回復費未払いの請求』だったので、これは 『不動産に関する訴え』 かなと思い、念のため相手の住所で決まる裁判所へ電話で相談してみました。
(財産権上の訴え等についての管轄)
引用:民事訴訟法(平成八年法律第百九号)
第五条 次の各号に掲げる訴えは、それぞれ当該各号に定める地を管轄する裁判所に提起することができる。
十二 不動産に関する訴え 不動産の所在地
ちなみに、裁判所へ電話相談をしたり、訴状を提出すると『書記官』という方が対応してくれます。
わからないことがあれば、書記官に相談して進めていきます。
ただし、最終決定権は裁判官にあるので、あくまでも電話に出た書記官の見解です。
裁判所書記官は,裁判手続に関する記録等の作成・保管,民事訴訟法や刑事訴訟法といった手続法で定められた事務及び裁判官の行う法令や判例の調査の補助といった仕事をしています(裁判所法第60条)。(中略)
引用:裁判所(https://www.courts.go.jp/saiban/zinbutu/syokikan/index.html)
さらに,裁判所書記官は,紛争を抱えて裁判所に来庁した人に対して手続の流れや申立ての方法を懇切に説明したりして,適切な紛争解決に結びつけるよう努めています。
裁判所へ電話をかけて事件の内容を説明し、管轄がわからないので教えてほしいと相談すると、
相手住所か不動産の住所か、どちらが管轄になるのかわからないので、好きな方に出してみてください。もし管轄違いでも事件は別の裁判所へ移送されるので大丈夫ですよ。
ということで、自宅から近い『物件所在地』の裁判所へ提出しました。
すると、物件所在地の書記官からは、
これは、お金の問題だけだから管轄とれないかもしれません。最終判断は裁判官ですが・・。
住所で管轄の裁判所で確認したら、不動産の事件にも該当すると言ってました!急ぎたいので提出させてください。原状回復費という不動産で発生した事件なので、不動産所在地を管轄にしたいという意向を裁判官へ伝えてください。
とりあえず受け取ってもらえましたが、その後書記官から連絡がきました。
やはり裁判官からは「お金の問題だけなので管轄はとれない」との回答でした。このまま事件の移送もできますが、事件を移送をすると相手に仮差押えをやっていることがバレます。移送するときには不服申し立てができるように、債権者(自分)、債務者(相手)のどちらにも連絡がいきます。債務者にバレないようにするには、一旦事件を取り下げるしかありません。
最初にそれを言ってほしかったという展開となりました。
結局事件を取り下げ、別の裁判所へ再提出と二度手間になりました。
ちなみに、仮差押えの申立書を提出する際に貼った収入印紙は返ってきませんでした(数万円と高額になれば還付請求という手続きがとれるようです)。
しっかり管轄を確認してから提出しましょう。
手順③ 申立書を作成する
もうしたて・・??言葉だけで眠くなってきた。
仮差押えの手続きは、こちらの提出した書面だけで判断されます。
実際に提出しなければならない書類は、以下のものです。
- 債権仮差押命令申立書
- 当事者目録
- 請求債権目録
- 仮差押債権目録
- 第三債務者に対する陳述催告の申立書
- 資格証明書
- 疎明する書類
いっぱいあって難しそうと思いきや、なんと裁判所のホームページにそのまま使えるフォーマットが準備されています。
1~5の書類(青下線)の準備方法
東京地方裁判所の書類でいうと、【書式2-1(債権仮差押命令申立書・当事者目録・請求債権目録・仮差押債権目録)】と【書式2-2(第三債務者に対する陳述催告の申立書)】を使用します。
ワードファイルなので、ダウンロードして自分の内容に書き換えるだけで完成します。
どうやって作ったらいいかわからなかったので書記官へ電話相談したところ、
東京地方裁判所の様式を使ってみてください。全国共通なのでそのまま利用できます。
とのことで、東京地方裁判所のホームページの様式をそのまま使いました。
私自身が作ったときに悩んだ箇所や間違えた箇所は以下です。
それ以外は、素直にフォーマット通りに記載したら全く問題なしでした。
間違い① 甲号証とはなんぞや
甲号証という書類を準備するのか思ったら、甲号証とは疎明方法に記載した『甲1号証』などのそれぞれの疎明書類のことを指しています。
間違い② 代表者という記載
『債権者』や『債務者』の記載について注意があります。
法人だと『代表取締役』や『代表社員』などの肩書を記載しますが、それを『代表者 代表取締役』や『代表者 代表社員』と記載しないと訂正が必要になります。
間違い③ 支店名だけではない
仮差押債権目録で様式を見ると、『第三債務者(○○支店扱い)』なので支店名だけを記載したら、『第三債務者(○○銀行○○支店扱い)』と記載が必要でした。
6(資格証明書)の準備方法
私のケースでは、債権者が法人、債務者が個人、第三債務者(銀行のこと)が法人でしたので、
- 債権者(自分の法人)の謄本
- 第三債務者(仮差押えする銀行)の代表者事項証明書
が必要でした。
何を準備すればいいのかは、裁判所へ聞くと教えてもらえます。
ちなみに、代表者事項証明書は、銀行の代表取締役のものを取得します。
取得方法は法務局で聞くと法人番号等も調べてくれるので、『銀行名』と『代表取締役』の名前を調べていけば大丈夫です。
実際に取得した代表者事項証明書は以下で、こんなものがもらえます。
7(疎明する書類)の準備方法
仮差押えは提出した書面だけで判断するので、自分の主張を裏付ける書類を準備します。
裁判所へ電話相談しても、
これはケースバイケースなので、自分で証拠になると思うものを提出してください。特にこれと言った決まりはありません。
とのことでした。記載方法のヒントは、民事保全法に記載されています。
(申立て及び疎明)
引用:民事保全法 (平成八年法律第百九号)
第十三条 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
2 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。
(裁判長の権限)
第十五条 保全命令は、急迫の事情があるときに限り、裁判長が発することができる。
自分の相手の財産を抑える権利があって、判決を待っていたら間に合わないという事態を説明できるものを準備すれば良さそうです。
実際に私が提出したのは、以下の書類です。
- 賃貸借契約書
- 原状回復費に関する請求書(自分で作ったもの)
- 明渡時の写真(原状回復の必要性に関する証拠)
- 債務者とのLINE(スマホ画面をスクリーンショットしたもの。どれだけ連絡しても言い訳ばかりで一切払わないという証拠)
- 賃貸借契約の解除通知書(滞納を繰り返しており、債権を仮差押えないと回収するすべがなくなるという証拠)
- 契約解約届出書(夜逃げ前の本人が記載した最後の書類)
これらの書類には、仮差押命令申立書に記載した番号(甲1号など)を記載するようです。
何も書かないで提出しましたが、書記官の方で番号記載しておきますとのことで特に問題ありませんでした。
手順④ 収入印紙と切手を購入する
裁判所指定通りに切手を買おうとしたら、量が多くて郵便局の窓口が渋滞になりました。
申立てをするには、その手数料として収入印紙と、債務者等への郵送料として切手が必要です。
債権仮差押えに必要な収入印紙は、申立てごとに2,000円です。
切手は裁判所によって必要額が異なっており、3,000円~4,000円程度で、必要な切手の種類や枚数も細かく指定されます。
どちらも裁判所へ事前に確認し、必要金額を聞いてから購入しましょう。
手順⑤ 申立書を裁判所へ提出する
人生で初めて裁判所へ行きましたが、意外に建物は古くて小さいし、女性職員も多くて和気あいあいした雰囲気でした。
裁判所へ直接提出しても、郵送で提出しても問題ありません。
管轄間違えのおかげでどちらも経験しましたが、初めての時は裁判所へ直接行って提出するのがおススメです。
裁判所へ直接行って提出すると、その場で書記官の方が記載内容を確認してくれ、間違いがあればその場で手書き修正OKでした。
管轄違いで再提出のときは、すでに間違いを修正済だったので郵送で提出しました。
到着日に裁判所へ電話確認すると受付されており、手続きは進めてますとのことでした。
また、申立書を提出すると、『事件番号』というものがつきます。
こちらから聞かないと教えてもらえないのですが、以下の手続きや裁判所へ事件の状況を問い合わせる時に必要になるので、確認しておきましょう。
手順⑥ 供託の金額を聞く
申立書を提出すると裁判所で提出書類の確認が行われ、問題がなければ担保金として供託を行います。
仮差押えの手続きでは、債務者(相手)の債権を申立人(自分)の証言だけで差押えを行うため、何かあったときの担保を提供させることを仮差押えの条件とされます。
担保金の金額は、差し押さえようとする金額の2~3割程度と言われています。
私のケースでは申立書を提出した翌日に裁判所の書記官から電話が来ました。
1週間以内に4万円を供託してください。供託が完了したら、『供託書』と『供託書の写し』を提出してください。供託は法務局で行うので、詳細な手続きは法務局で確認してください。
供託金は裁判所側で決めるのですが、私は約2.5割でキリの良い金額で設定されました。
(保全命令の担保)
引用:民事保全法 (平成八年法律第百九号)
第十四条 保全命令は、担保を立てさせて、若しくは相当と認める一定の期間内に担保を立てることを保全執行の実施の条件として、又は担保を立てさせないで発することができる。
2 前項の担保を立てる場合において、遅滞なく第四条第一項の供託所に供託することが困難な事由があるときは、裁判所の許可を得て、債権者の住所地又は事務所の所在地その他裁判所が相当と認める地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託することができる。
手順⑦ 供託をする
供託は法務局で行います。手続きに必要なものは、以下です。
- 供託する現金
- 法人の場合は、法人の謄本(確認後返してもらえました)
謄本も法務局で取れるので、現金持っていけば良いだけです。
法務局へ行き、供託書(供託所窓口備付けの専用のOCR用紙)をもらい、必要事項を記入して提出すると、支払用紙をもらえます。
その支払用紙を持って、Pay-easy(ペイジー)対応のATMなどで支払いを行います(詳細は法務局の窓口で教えてもらえます)。
支払をして再度法務局へ行くと、供託書をもらえます。
実際にもらった供託書はこちらです。
供託書の記載方法は、法務局で教えてもらえるはずですが、法務局で尋ねると、
『記載の間違えがあると裁判所が受け取られないから、裁判所で聞いて!』
となぜか怒られ、奥では裁判所を文句を言っているのが聞こえました。仕方なく裁判所で書き方を尋ねると、
『これは法務局の書類だから、法務局の仕事!』
と言われ、裁判所から法務局へクレームの電話をしていました。
最終的には法務局への文句を聞きながら裁判所で教えてもらいましたが、ここはお互いに譲れない戦いのようです・・。
手順⑧ 裁判所へ供託書を提出する
法務局で供託書をもらったらコピーをとり、『供託書』と『供託書の写し』を提出します(裁判所のコピー機は1枚20円と高かったので、コンビニでコピーした方が安いです)。
提出すると、『供託書の写し』が『供託書』と同一のものであることをその場で書記官が確認し、『供託書』はその場で返してもらえました。
この供託書を提出すると、自分の手続きとしては終了です。
手順⑨ 仮差押えの決定
供託書を提出すると、裁判官が仮差押えの決定を行います。
債権仮差押えの手続きは迅速に進められ、私のときには1週間以内で完了しました。
月曜日:申立書を提出する
火曜日:供託金の決定、供託の連絡を受ける
水曜日:供託し、供託書を提出
木曜日:仮差押えの決定(?)
金曜日:銀行口座の差押え完了
指定した銀行支店に預金口座等があったのかどうかは、銀行からの『陳述書』という書類で確認できます。
こちらは、債権仮差押命令申立書を提出する際に、『第三債務者に対する陳述催告の申立書』を提出することで、銀行から『差押えを行った債権の有無等』の情報を開示してもらうものです(上記した裁判所の債権仮差押えフォーマットに一緒に入ってます)。
(第三債務者の陳述の催告)
引用:民事執行法(昭和五十四年法律第四号)
第百四十七条 差押債権者の申立てがあるときは、裁判所書記官は、差押命令を送達するに際し、第三債務者に対し、差押命令の送達の日から二週間以内に差押えに係る債権の存否その他の最高裁判所規則で定める事項について陳述すべき旨を催告しなければならない。
2 第三債務者は、前項の規定による催告に対して、故意又は過失により、陳述をしなかつたとき、又は不実の陳述をしたときは、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
下の陳述書が、実際に銀行からもらった『陳述書』です。
申立書の提出から11日後に裁判所からFAXで受領しました。
これで債権仮差押えの手続きは完了です。
無事に30円を差し押さえることができました。
手続き中に起こったトラブルと対処方法
事件を取り下げる
管轄違いでやり直しになったとき、書類を全部返してもらって別の裁判所へ再提出しようと思いましたが、裁判所へ提出したものは返ってきません!
一旦申立をしてしまうと、事件を移送してもらうか、事件を取り下げるかのどちらかです。
事前を取り下げるには、『取り下げ書』というものを提出します。
取り下げ書もフォーマットがありますので、そのまま利用すればOKでした。
記載を修正する
申立書などに誤記があった際には訂正もできます。
その場にいれば訂正印で修正もできますが、『訂正申立書』を提出して、書類そのものの差し替えもできます(郵送でも対応可です)。
一カ所修正が必要なので、訂正申立書を提出し訂正してください。様式はFAXするのでそちらに記載してくれれば大丈夫です。差し替えする書類はそのまま添付するだけで大丈夫です。
実際にもらった書類はこちらです。間違えがあっても簡単に差し替えができるので、完璧なものに仕上げようと悩むよりかは、作ってみてまずは提出してみましょう。
まとめ
本記事では、銀行預金の仮差押えの手順と、実際にやってみた体験談を紹介しました。
債権仮差押えを調べると、素人がやるのは難しいと書かれていたりしますが、様式は全て準備されているので特段難しいことはありませんでした。
また、使う様式や記載方法がわからない場合には裁判所へ問い合わせると丁寧に教えてくれるので、1人でも難なく実施できました。
ただし、夜逃げするような方は口座の凍結を恐れて現金が入っていないこともあるので(まさにその例でした)、仮差押えをしてもムダかもしれません・・。
債権仮差押え後、債務者を相手に少額訴訟を行いました。
少額訴訟の流れや体験談は、以下にまとめています。
また、弁護士に無料で相談できるツールを以下にまとめたので、合わせて参考にしてください。
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