不動産投資は、家賃に関してのトラブルが色々とつきものです。
家賃管理で手間をかけたくないという方は、物件を管理委託し、ほぼ手放しで運営もできます。
しかし、不動産投資を始めたばかりで家賃も少ないときに管理会社への管理委託費は、家賃の数%といえども痛い出費で、なんとか抑えたいものです。
少しでもお金を残したいけど、自主管理は不安。
滞納とか起きたらどうしたらいいんだろう。
どうやって家賃を回収すればいいのかな。
うーん、トラブルは怖いなぁ。
不動産投資の本を見ると、『不動産投資は、毎月管理会社から振り込まれる家賃を確認するだけ』など都合の良い話も書いてありますが、自主管理だとどうなるのでしょうか。
自主管理にしたいけど、トラブルが起きたときを考えると不安で自主管理へ踏み切れないという方も多いと思います。
そこで本記事では、全物件自主管理をしている私が実際に経験した家賃に関するトラブルと、事前にトラブルを防ぐための有効な対策をご紹介します。
事前にしっかりと学べば、自主管理も怖くありません!
自主管理とは
そもそも自主管理ってなんだっけ?
他に何か方法ありましたっけ?
自主管理とは、入居者との対応や業者への工事手配を全てを大家さん自らが行う管理方式です。
他の会社へ委託する管理方式と比べて大家さんの手間は増えますが、その分管理委託費なども不要で、コストを抑えられるメリットがあります。
しかし、全て大家さん自身で行うため、家賃トラブルや入居者からのクレーム対応等は全て自分自身で受けて、工事業者も自分で探して手配しないといけません。
一見するとハードルが高そうに感じますが、私の場合は最初に購入した物件から自主管理とし、一度だけ管理委託も経験しましたが、今では全物件自主管理にしています。
実際にこれまで家賃に関することでどんなトラブルがあり、どう対処し解決したのか、以下でご紹介していきます。
トラブル体験① 家賃滞納
頻繁に起こるトラブルが家賃の滞納です。
もし家賃の滞納が起こってしまったらどうしたらいいのでしょうか。
家賃滞納の体験談
今月お金がなくて家賃が払えないよ。
1ヵ月遅れになるけど、大丈夫?
そうですか・・。
保証会社と返済方法を相談してみてください。
実は、家賃の滞納は、かなり頻繫に発生しています。
ほぼ毎月家賃を滞納し頑張って少しずつ返済している方や、離職等で一時的に支払えなくなってしまった方、滞納額が増えすぎてどうしようもなくなってきた方など、物件が増えると滞納は日常茶飯事です(所有物件の家賃にもよるかもしれませんが)。
しかし、滞納は意外に恐れる必要がなく、むしろ大家としてはできることはあまりなく、入居者の話を聞いてあげることしかできません。
それはなぜかというと、全ての入居者に保証会社の保証をつけ、家賃の口座振替サービスを利用しているからです。
家賃滞納の対策
まず家賃の滞納については保証会社を利用することで、入居者が滞納しても保証会社が立て替えてくれます。
しかし、これだけでは不十分で、自主管理する際には口座振替サービスも必須条件にすると良いです。
保証会社を利用した家賃の支払い方法は、以下の2種類タイプがあります。
- 直接振込:入居者が大家の口座へ振り込み、滞納時は保証会社へ報告し立て替えてもらう
- 口座振替:入居者の口座から家賃を引き落とし、保証会社から大家へ送金する
入居者が直接振込を行うタイプを利用すると、家賃の滞納が発生した都度保証会社へ連絡する手間が発生します。
直接振込の家賃保証タイプだと、保証会社が立て替えをするには『家賃の滞納が発生してから何日以内に報告した場合』と期間が決められているため、必ず入金確認をしなければなりません。期日を過ぎると立て替えてもらえません。
また、不動産会社を通して保証会社を利用していると、代理店である不動産会社から保証会社へ家賃滞納の報告をしてもらう必要があり、管理を委託していないため不動産会社へ迷惑をかけることになります。
そういったデメリット全てを解消できるのが、保証会社の口座振替サービスです。
口座振替を利用すると、入居者の口座から保証会社にて引き落としを行い、その引き落としの成否にかかわらず大家の口座へ保証会社から振込をしてくれます(もし口座残高が不足しているときは、自動的に保証会社の立替払いになります)。
つまり、毎月の家賃入金確認すら不要で、自主管理なのにほったらかしにできるということです。
口座振替サービスは多くの保証会社で利用できますが、不動産会社経由で入居者を募集するときには、『口座振替サービス付きの保証会社でお願いします』と一言伝えておけば、そちらを利用できます。
もし口座振替サービスがなくても最終的には保証会社が滞納額を負担してくれますが、日々の管理の手間を省くためにはぜひ利用してみてください。
トラブル体験② 初期費用滞納
自主管理でも不動産会社を通して募集をお願いする方法と、大家自身で入居者を見つけ、自ら契約する方法があります。
不動産会社を通して契約すると、初期費用をしっかりもらってから契約するので、初期費用が滞納になることは基本的にありません。
しかし、自分で入居者と契約すると、『初期費用を分割にしたい』、『初期費用は1週間後の給料日に支払いたい』など、初期費用の支払を遅らせたい方が意外に多いです。
そういった方を自分で契約するときにトラブルが発生します。
なお、募集方法についてはこちらの記事↓を参考にしてください。
初期費用滞納の体験談
なかなか入居者が決まらずに空室期間の長期化で焦っていたとき、ジモティー経由で入居希望者が現れました。
はじめまして。
今日でお会いするの最後ですが、よろしく!
保証会社の保証も付けるし、まぁいいか。
その条件でいいですよ。
自分で代理店契約している保証会社を利用して入居者とは初期費用を後払いの条件で契約しました。
保証会社を通せば万が一滞納したときでも保証会社が立て替えてくれるので安心です。
しかし、盲点がありました。
そのとき利用した保証会社は、家賃等の滞納額の保証はしてくれても、実際に立替払いをするのは退去時でした。
いつかは保証会社から回収できるとはいえ、入居したばかりでいつ退去するかもわからず、大変焦りました。
入居者は言い訳を重ね、なかなか支払ってもらえませんでしたが、しつこいくらいに連絡をし続けた結果、2ヵ月遅れでようやく回収できました。
一度こうなってしまったらとにかく払ってもらえるように頑張る他ありません。
初期費用滞納の対策
初期費用の滞納については対策が2つあります。
対策1 最初に必ず初期費用をもらってから鍵を渡す
大変当たり前の対策ですが、最初に初期費用全額受け取ってから鍵を渡すことです。
不動産会社経由にて契約すると、大抵家賃2か月分も含めて初期費用にしており、初期費用が高く見えてしまうデメリットはありますが、初期費用の滞納という事態は避けられます。
なら2カ月分最初にもらっていけば絶対安心かというと、意外な落とし穴もあります。
口座振替サービスを利用するには、大抵申込から2ヵ月程度かかりますが、申込の時期によっては3カ月目までが入居者直接振込で、それ以降が口座振替になる場合もあります。
ほとんどの方は問題なく払ってくれますが、滞納を繰り返す方からその分を回収するのはやはり少し手間です。
また、最初に多くもらうと初期費用が高く見えてしまい、初期費用の高さが原因でなかなか入居者が決まらないこともあります。
初期費用を高くしたくない、でも滞納は怖い、そんな悩みを解消する方法が以下です。
対策2 口座振替開始前の滞納もすぐに立て替える保証会社を選ぶ
一番簡単な解決方法が、『口座振替前の滞納もすぐに立替払いをしてくれる保証会社を選ぶこと』です。
保証会社によっては、『滞納額を保証するが、口座振替サービス開始前の滞納額の立替払いは退去時精算』という会社もあります。
『家賃が保証されていればいいか』とあまり考えずに保証会社を選ぶと後々苦労もあります。
すぐに立て替えてくれる保証会社を選んでおけば、万が一口座振替開始前で滞納が起こったとしても、
- 不動産会社が代理店をしている場合は、不動産会社へ連絡し滞納手続きをしてもらう
- 自分が代理店をしている場合は、滞納発生の届出(大抵FAX)をする
だけですぐに保証会社から立替てもらえ、その後の回収は保証会社が入居者と直接行うため、大家としては完全に手放しです。
これだけで家賃の滞納問題は何も怖くありません。
トラブル体験③ 夜逃げ
入居者が家賃の滞納を続け、返済が困難となった場合には『自主的に退去してもらう』か、『強制的に追い出して明け渡しを行う』かのどちらかになります。
自主的に退去してくれるとスムーズですが、滞納を重ねる入居者の多くは最終的に夜逃げをします。
まだまだ物件数も少ない方ですが、それでも夜逃げは既に4回経験済です。
夜逃げされたらどうなるのか、1例を紹介します。
夜逃げの実体験
あーもう家賃が払えない・・。
滞納額もすごいことになってしまった。
今回も諦めて夜逃げしよう。
それでは、さようなら。
あれ?電話が通じない・・。
ん?メールも一切返ってこない。
住んでいる気配もなくなったような。
入居してすぐに家賃を滞納し始め、何ヶ月かは返済し粘っていましたが、ある日を境に一切連絡がとれなくなりました。
室内には大量の荷物が残されており、入居申込時に記載されていた以前の住所を訪ねてみると、なんと前住居も夜逃げしていたとのことで、夜逃げの常習犯でした。
一見ヤバそうに思える状態ですが、こちらも保証会社を利用していれば恐れることはありません。
夜逃げの対策
夜逃げのときって、勝手に明渡しして大丈夫なの?
荷物とかどうするんだろう。
入居者が行方不明で連絡もとれなくなってしまった場合、きちんとした法的手続きをとる必要があります。
「誰も住んでいないなら室内へ入って荷物を片付ければ良い」と思われますが、これは絶対にNGです。
実際の手順としては、建物明渡請求訴訟を提起して明渡判決を得て、それに基づいて明渡強制執行を行うことになります。
訴訟を提起してから最低でも数ヵ月間単位で時間がかかり、じれったくてもきちんとした手続きを踏んで進めないと夜逃げした方から逆に損害賠償請求を受けるおそれもあります。
ではどうやるのかというと、、保証会社に任せれば無事完了します!
これまでに何度か建物明渡請求訴訟や強制執行をやっていますが、実際に大家の自分がやったことは、
- 保証会社から送られてきた委任状等の書類に記名、押印する
- たまに進捗報告の電話を受ける
- 強制執行の当日に立ち会う(鍵を渡して行かなくてもOK)
だけです。
訴訟対応や訴訟費用をしっかりと保証してくれる保証会社に入っていれば、悩むことは特にありません。
ただし、ここでも一つ落とし穴があるので注意してくだださい。
保証会社の保証内容を比べると、「退去時の原状回復費」を保証するかどうか、またそれを何ヶ月保証するのか違いがあります。
原状回復費をしっかり保証してくれる保証会社であれば、室内を破損されていたとしても保証会社が立て替えてくれるので安心です。
しかし、パンフレットやHPだけでは絶対にわからないのですが、保証すると記載されていても、「退去時の本人の了承が必要」とか「通常の明け渡しのみ保証」など、夜逃げには役に立たない保証内容の会社もあります。
もし原状回復費保証が条件付きの保証会社や、そもそも原状回復費は対象外という保証会社を利用してしまうと、回収する手立てがなく、本来であれば入居者負担の分も大家側で負担せざるを得ないときもあります。
現在、私自身も夜逃げで保証外の原状回復費が発生してしまい、なんとか回収する手立てはないか模索しているところですので、解決できたら別の記事で紹介したいと思います。
どのような保証会社を利用するかが重要なので、最初によく調べておくと良いと思います。
自主管理はできる?
ここまで家賃に関するトラブル事例をご紹介しましたが、自主管理できそうでしょうか?
できそうな気がする!
きちんとした保証会社を使えば楽だね。
保証会社を必ず利用し、そして必要な保証がついている保証会社を選べば、滞納や夜逃げは恐れることはありません。
全物件自主管理でやっていますが、家賃の入金確認すら数ヵ月に一回の頻度しかやっておらず、自主管理でも手放し状態で運営できています。
大事な点は、保証会社をうまく利用することです。
まとめ
本記事では、自主管理で起こるトラブルとその対策を実体験から紹介しました。
重要な点を整理すると、以下のとおりです。
自主管理で実際に起こった設備トラブルについては、以下の記事を参考にしてください。