自主管理なら管理費不要でお金がかかりませんが、本当にうまく運営できるのか不安になると思います。
自主管理にはいくつかの関門がありますが、その1つが契約です。
契約ってそもそも何をするんだろう。
自分でやって法的に問題ないのかな。
わからないことばかりだなぁ。
そこで、本記事では自主管理で契約はどのようにするのか、他社へ任せる方法と、自分でやる方法それぞれ詳細に紹介していきます。
契約時に必要なこと
まず不動産を賃貸するときに必要な契約関係を紹介します。
①建物賃貸借契約
一番大事なものは入居者と大家の間で結ぶ賃貸借契約ですが、賃貸借契約自体は当事者間で合意すれば口頭でも契約は成立します。
しかし、口頭約束だと後々トラブルにもなりかねないため、通常書面での契約を行います。
主な記載内容としては、家賃、退去時の原状回復、禁止事項などが記載されます。
②保証会社との保証委託契約
入居者が家賃を滞納したときに、連帯保証人などに代わって家賃を立て替えてくれるのが保証会社です。
保証会社を利用せずに連帯保証人を立てる方法もありますが、連帯保証人とのトラブルが発生したり、家賃滞納時の回収が困難になる恐れもあることから、最近では保証会社の利用が一般的になっています。
通常、賃貸借契約を締結する条件として、保証会社との契約がセットになっています。
③賃貸用火災保険
入居者の過失で室内の破損や火事などを起こしてしまった時の大家への賠償や、自分の家財を補償するために賃貸用の火災保険があります。
万が一の事態に入居者本人を守るためにも賃貸借契約とセットで加入が義務付けられているケースが多いです。
管理会社がいるときの契約方法
管理を不動産会社へ委託しているときは、
契約よろしくお願いします。
というだけで、あとは勝手にやってくれます。
入居申込が入ると保証会社へ審査を申し込み、無事に審査が通れば契約書の作成を開始します。
大抵契約書の案を作ったら大家へ内容の確認を行い、問題がなければそのまま管理会社の方で入居者さんと契約を行います。
その後、入居者が押印した書類が大家へ郵送されてくるので、それに署名、押印して返送すれば契約手続き完了です。
自主管理物件の契約方法
管理を任せていると簡単なんだね。
でも自主管理だったらやっぱり大変・・?
自主管理物件だからといって、自分でやらなければいけないわけではありません。
どんな方法があるのか紹介します。
方法1 客付けしてくれた不動産会社へ任せる
不動産会社へ募集をお願いし客付けしてくれた場合は、管理委託しているときと全く同じように契約を任せられます。
募集をお願いする際に、大抵以下のようなやりとりが発生します。
契約はどちらで行いますか?
契約書はどうしますか?
入居者が見つかったら御社の契約をお願いします。
契約書は御社のフォーマットで大丈夫です。
承知しました。
特約事項は何かありますか?
室内禁煙とハウスクリーニングを必須でお願いします。
あとできれば短期解約違約金を設定したいのですが。
不動産会社によって契約書のフォーマットは違いますが、特にこだわりがなければそのまま任せてしまうと大変楽です。
大きい不動産会社や賃貸に強い不動産会社だと過去のトラブルを反映した契約書なのでほぼ間違いありませんが、昔ながらな不動産会社だと「これでいいのかな・・?」と不安になる内容のものもあります。
自分で契約書を用意することもできますが、最初は丸ごとお任せしてしまった方が間違いなく、慣れてきたら必要な項目を検討して追加していくと良いと思います。
下手に色々と細かい指定をすると、それが逆効果になることもあります・・。
客付けしてくれた不動産会社へ任せるときの費用は、入居者を見つけた際に支払う『広告費(AD)』のみで、契約をしてもらうから追加料金が発生することは基本ありません。
(たまに『コンサル料』や『事務手数料』といって追加請求する会社もありますが、稀です。)
方法2 近くの不動産会社へ任せる
自分で入居者を発見したときに、それを不動産会社へ契約のみ任せることもできます。
近くの不動産会社へ行って、
自己発見の入居希望者がいるんですが、
契約手続きだけ御社にお願いできませんか?
保証会社と火災保険もセットでお願いします。
入居者さんから仲介手数料もらっていいですか?
あと、事務手数料とかもらえます?
OKです。
契約のみなので、事務手数料は0.5カ月でもいいですか?
それで十分です!
ありがとうございます。
こんなやりとりでお願いもできます。
自己発見したらそのまま自分自身で契約したいところですが、『やり方がよくわからない』、『保証会社を使いたい』といつときはお願いしてみると良いでしょう。
方法3 自分で契約する
究極の方法は、自分自身で全て行うことです。
難しそうに思われますが、一度必要なものを揃えてしまえば、それ以降は繰り返しなので楽です。
以下で詳細をご紹介します。
自分で契約する手順
自分で契約できるの・・?
難しいのかなぁ。
自分で契約するためには事前にいくつか準備が必要です。
具体的に何をやればいいのか順を追って紹介します。
手順① 事前準備
自分で契約するためにはいくつか事前準備があります。
全てが必須ではありませんが、自主管理でもトラブルなく運営していくためにはぜひやってみてください。
保証会社と代理店契約をしておく
自主管理物件で家賃の滞納など金銭的な問題が発生したときに備えて、保証会社を利用した方が良いです。
一度代理店契約を結ぶと、それ以降いつでもその保証会社を利用できます。
代理店というとハードルが高く感じられますが、意外に簡単に代理店になれます。
詳細な手続きはこちらの記事を参考にしてください。
少額短期保険の代理店になっておく
入居者が入る家財などの火災保険について、自分が代理店になれば約を行えます。
入居者自身で他の会社で契約してもらうこともできますが、人によっては契約手続きをせずに、いざというときに使えないリスクもあります(実際にありました!)。
入居者が加入する火災保険もうまく使えば退去時の修繕費を保険で賄うこともできるので、入居者にとっても大家にとってもメリットになります。
少額短期保険の代理店になるには、資格取得や財務局への登録など手続きに若干時間がかかるので、早めに着手しておくと良いです。
詳細な手続きは、こちらの記事を参考にしてください。
賃貸借契約書を準備する
入居者と大家の間で結ぶ賃貸借契約を準備します。
不動産会社が仲介として契約する際には重要事項説明書が必須ですが、大家自身が契約する際には必要ありません(宅建業法によって、宅地建物取引士が重要事項説明を行うよう義務付けられています)。
そのため、最低限準備すべきは賃貸借契約書です!
賃貸借契約書を準備する方法はいくつかあります。
市販品を使う
本屋さんなどの文房具を扱っているお店で以下のような契約書を購入できます。
デメリットは自分で追記できないことですが、最低限必要なことは書いてあるので、急ぎの時はそのまま利用できます。
小さくて昔ながらの不動産屋さんで、そのまま利用しているところもありました。
国土交通省の標準契約書を使う
国土交通省がトラブル防止を目的に、賃貸借契約書の雛形を作って公開しています。
PDFとワードファイルで公開しているので、ダウンロードして追記・修正等しても利用できます。
・参考リンク:国土交通省の賃貸住宅標準契約書のページ
・参考リンク:国土交通省の定期賃貸住宅標準契約書のページ
デメリットは、とにかく長くて分量が多いことです。
しっかり作られているのはいいのですが、色んな物件で利用しようとすると大変です。
不動産屋さんの契約書を真似する
不動産屋さんによって、契約は全然違います。
全宅連などの書式をそのまま利用していたり、賃貸に強い会社だとオリジナルの契約書を使っていたりします。
そういった色んな会社が実際に使っている契約書を見て、これはいいなと思ったら真似してみるのも手です。
『これは厳しい!』とか『なんでこんな記載があるんだろう』と思うものもありますが、いざ訴訟になると意外に大事だったり各社のノウハウが詰まっているので、参考にすると良いです。
ちなみに私も大手の不動産屋さんの契約書を真似しています。
手順② 内見して入居申込をもらう
契約書等必要なものの準備ができたら入居者の募集を行います。
ジモティーやビラ配りで入居者を見つけたら、いざ自分で契約になりますが、最初にやることは入居申込兼保証会社への審査申込です。
不動産会社によっては兼用されたフォーマットだったり、別で準備しているところもありますが、作成や記載に余計な手間がかってしまいます。
欲しい情報は保証会社の審査申込書で十分足りているので、私は保証会社の審査申込書で代用しています。
手順③ 審査結果を伝えて契約日を決める
保証会社の審査は『至急』とお願いすると、数時間で結果が出てきます。
入居者本人に連絡がつかず時間がかかるときもありますが、遅くても翌日の朝には結果がFAXで送られてきます。
保証会社の審査が無事通りました!
入居日と契約日はどうしましょうか?
今週末に契約して即入居でお願いします!
契約日に関して重要なことは、入居申込をしてもその後契約をキャンセルする方も少なからずいることです。
キャンセルされたからといって違約金を請求することもできず、その間は空室になるので、可能な限り早い日程で契約日を設定し、素早く契約をクローズさせることが大事です。
一度契約を締結してしまえば、入居日前でも解約予告や短期解約違約金が発生するので、万が一の時にも被害を最小限に抑えられます。
ちなみに、私の経験では、入居申込後のキャンセルは何度も経験しましたが、契約後のキャンセルは一度もありません。
他のセールスでも同じですが、いかに契約をクローズさせるかがとにかく重要です。
また、事前に初期費用を計算しておいて、入居日が決まったら初期費用の総額と内訳を伝えておきましょう。
必須書類ではありませんが、大抵の方は初期費用の内訳が分かる資料を欲しがるので、予め準備しておきましょう。
手順④ 契約書類を作成する
手順①で準備していた契約書案に、実際の物件情報や入居者情報を記載していきます。
保証会社を利用する際には、保証会社の契約書面も合わせて準備します。
保証会社の契約書は会社によって様々ですが、家賃の支払の口座振替サービスを利用できる保証会社なら必ず準備しましょう。
口座振替サービスの重要性は次の記事を参考にしてください。
鍵を渡したことを証明する書類として「鍵の受領証」も用意しておきましょう。
何本、何の鍵を渡したかがわかればいいので、簡単な書式で大丈夫です。
また、お金を貰った際には領収書が必要なので、文具店や100円ショップなどで忘れずに購入しておきましょう。
手順⑤ 契約する!
手順④で準備した書類を一式持っていきます。
大抵は次のような書類になります。
- 賃貸借契約書(2部)
- 保証会社の契約書
- 火災保険のパンフレットと申込書
- 鍵の受領書
- 領収書
- 自分の印鑑
- 初期費用の計算書
- おつりを渡せるように小銭など
- ボールペン
- 朱肉
また、入居者さんには以下の持ち物が必要になります。
- 通帳(口座振替サービスを利用するとき)
- 通帳の届出印
- 認印(契約書などに押印するため)
- 初期費用
当日は契約書を読み上げて契約内容をしっかり確認してもらいます。
全て書類の内容を確認したら契約書に署名、押印をもらいます。
そして初期費用をもらったら鍵を渡して契約完了です。
もし口座振替サービスを利用するときには何月から引き落としが開始されるのかを事前に確認し、それまでの間は振込になることを必ず大きなメモに記載して渡しましょう。
振込が1カ月先だと忘れる方が大変多いので、少しでも覚えておいてもらえる工夫をしましょう。
手順⑥ 保証会社へ契約書の発送と振込
入居者さんとの契約は手順⑤で完了しますが、その後保証会社や火災保険の手続きが必要です。
入居者さんが記載した書類を郵送し、会社によってはシステム上で契約締結の手続きを行います。
後日保証会社から入居者さんから受け取った保証料の振込案内が来るので、そちらを振り込み、手続きが完了します。
なんだかできそうな気がする。
しっかり準備すれば難しくないのかも。
最初はできるかなって不安でしたが、
今は1人で契約もしています!
まとめ
本記事では、自主管理物件で契約をする方法を紹介しました。
書類さえ準備してしまえば、簡単に契約手続きもできます。
最初は不動産会社へ任せ、余裕が出てきたらぜひチャレンジしてみてください!
まとめ