こんにちは。大家のぶたどんです
原状回復費高額請求の対処方法をご紹介します
賃貸物件を退去する際には、退去立会を行って室内の破損個所を確認し、原状回復費の精算が行われます。
管理会社や大家から送られてきた請求書を見ると、「数十万円」という信じられないような高額請求を受けることもあります。
請求書が届いたら諦めて払うしかないのでしょうか。
友だちのジェンツー君が原状回復費50万円も請求されてビックリしてたよ。「きれいに住んでいたのに何で?」って泣いてたし、困っているから助けてあげたい。
そこで本記事では、原状回復費で高額請求を受けた場合にどうしたらよいのか対応策を解説します。
原状回復費の高額請求を受けたら?
まず、原状回復費の高額請求を受けた場合にどうしたらよいのかご紹介します。
不当な請求が来たら支払ってはダメ!
もし大家・管理会社から届いた原状回復費の請求額が不当なものであれば、絶対に支払ってはダメです!
先にお金を支払ってしまうと、払ったお金を取り戻すのにかなりの手間や時間がかかります!
払ったら取り返せないの?
先に払ってももちろん取り返せます。でも相手が拒否してきたら訴訟になります
もしすでにお金を支払ってしまった場合や、敷金を返してくれない場合でも、最終的には訴訟を行って、裁判所の力で強制的に回収もできます。
しかし、訴訟まで発展すると解決に時間がかかるため、支払いをする前に一旦立ち止まりましょう。
まずは請求内容を確認しよう!
請求書を受け取って最初にやるべきことは、請求内容の確認です。
もし請求された内容・金額が不適切なものでなければ、本来負担すべき金額のみを支払うだけで問題ありません。
どうやって適切な内容か確認したらいいの?
適切な請求額をどうやって計算したら良いのか、原状回復の考え方から続けて解説していきます。
原状回復費の負担の考え方について
詳細な計算方法の前に、原状回復費の基本的な考え方を解説します。
原状回復費の負担に関する考え方は次のとおりです。
詳しい説明はいらないよという方は、下のボタンで次へ飛んでください。なぜこうなるのか詳細な説明を以下でしています。
ジェンツー君のためにもしっかり勉強するよ!
原状回復費のルールブック
賃貸住宅の原状回復費については昔から何度もトラブルになっており、様々な裁判が行われてきました。
その裁判所の結果(「判例」といいます。)を調べれば、原状回復に関する原則的な考え方もわかりますが、一般の人がいちいち裁判の結果を調べるのは無理があります。
そこで、原状回復の判断基準として国土交通省によって定められたものが「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。
国土交通省のガイドラインは、法的拘束力はありませんが、裁判所の判例を基に妥当と考えられる一般基準であることから、トラブル時の判断根拠として用いられています。
ガイドラインを読んでそれに従えばいいってことだね
その通りです。でも全部読むのも大変だと思うので、大事なところを解説していきますね
(参考)原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)
国土交通省のガイドラインである「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、当初1998年3月に取りまとめられました。
その後、2004年2月及び2011年8月には、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂を行い、2011年(平成23年)改訂版が現在の最新となっています。
(参考)賃貸住宅トラブル防止ガイドライン(東京都)
東京都では、賃貸物件の退去トラブルを避けるために、2004年に「賃貸住宅紛争防止条例」(正式名称は「東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例」)と「賃貸住宅防止ガイドライン」というものを定めました(これを賃貸業界では「東京ルール」といいます)。
「賃貸住宅防止ガイドライン」とは、賃貸住宅紛争防止条例で説明を義務付けている原状回復や入居中の修繕などの基本的な考え方について、法律上の原則や判例等をもとにわかりやすく解説した小冊子のことです。
「賃貸住宅紛争防止条例」は東京都のみのルールですが、賃貸業界では「東京ルール」が標準的な対応になっています(全然違う対応しているところもありますが)。国土交通省のガイドラインよりも見やすく、内容はほとんど同じです
原状回復費負担の原則
原状回復の負担に関する原則的な考えは次のとおりです。
①―A 建物・設備等の自然的な劣化・損耗等(経年変化)
引用:国土交通省、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
①―B 賃借人の通常の使用により生ずる損耗等(通常損耗)
② 賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等
損耗等を補修・修繕する場合の費用については、②の賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等について(詳細については別表1のB欄(P.17~21)およびQ&AのQ10(P.41)を参照のこと)、賃借人が負担すべき費用と考え、他方、例えば次の入居者を確保する目的で行う設備の交換、化粧直しなどのリフォームについては、①-A、①-Bの経年変化及び通常使用による損耗等の修繕であり、賃貸人が負担すべきと考えた。
このほかにも、震災等の不可抗力による損耗、上階の居住者など該当賃借人と無関係な第三者がもたらした損耗等が考えられるが、これらについては、賃借人が負担すべきものでないことは当然である。
長くて何を言っているのかよくわからないんだけど・・・
簡単に整理すると、
- 入居者の負担範囲は、次の修繕費用から通常損耗(通常使用による損耗)分を除いたもの
- 故意、過失によるもの(わざと壊した、誤って壊した)
- 善管注意義務違反によるもの(一般的に要求される程度の注意をせずに使用したことによる損耗)
- 通常の使用を超えるような使用による損耗
- 大家の負担は、上記の入居者負担以外全部(通常損耗は大家負担)
通常損耗というのは、例えば壁紙を汚してしまった場合でも、長い間住んでいれば徐々に色あせて汚れ行くので、その分は大家の負担としているものです。
確かに自然に汚れた分も入居者が直してたらおかしいよね
通常損耗の計算方法は、詳細な計算方法の説明のときに解説します。
基本的には入居者自身がやらかしてしまったものが入居者の負担ってことです
例外を設ける場合のルール
先ほど『通常損耗(通常の使用による損耗)は大家負担』といいましたが、絶対にそのルールを守らなければいけないわけではありません。
入居者と大家で締結する賃貸借契約は自由契約であり、一般的な原状回復義務を超えた修繕等を入居者負担とすることもできます。
一番わかりやすい例が「ハウスクリーニング」の費用負担です。
最近では退去時のハウスクリーニングを入居者負担として契約する賃貸物件が多いですが、裁判所や「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の定めでは、ハウスクリーニングは原則大家の負担です。
え?それじゃ全て入居者負担って書かれていたら・・
いえ、好き勝手にはできないようになっています
何でもかんでも入居者の負担になると大変なので、最高裁判所で原状回復費の負担に関して次のような判例が出ています。
賃借人は,賃貸借契約が終了した場合には,賃借物件を原状に回復して賃貸人に返還する義務があるところ,賃貸借契約は,賃借人による賃借物件の使用とその対価としての賃料の支払を内容とするものであり,賃借物件の損耗の発生は,賃貸借という契約の本質上当然に予定されているものである。それゆえ,建物の賃貸借においては,賃借人が社会通念上通常の使用をした場合に生ずる賃借物件の劣化又は価値の減少を意味する通常損耗に係る投下資本の減価の回収は,通常,減価償却費や修繕費等の必要経費分を賃料の中に含ませてその支払を受けることにより行われている。そうすると,建物の賃借人にその賃貸借において生ずる通常損耗についての原状回復義務を負わせるのは,賃借人に予期しない特別の負担を課すことになるから,賃借人に同義務が認められるためには,少なくとも,賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか,仮に賃貸借契約書では明らかでない場合には,賃貸人が口頭により説明し,賃借人がその旨を明確に認識し,それを合意の内容としたものと認められるなど,その旨の特約(以下「通常損耗補修特約」という。)が明確に合意されていることが必要であると解するのが相当である。
平成16(受)1573 敷金返還請求事件 平成17年12月16日 最高裁判所第二小法廷 判決 破棄差戻 大阪高等裁判所
また、難しくて何を言っているのか・・・
大事な点を簡単に整理すると、
- 普通に使って起こる部屋の劣化や痛み(通常損耗)は、家賃で払っているんだから当然大家が負担するべきもの
- 通常損耗を入居者の負担にするのなら、『通常損耗の範囲を具体的に明記、もしくは口頭で説明し、入居者が理解すること』、そして『通常損耗を超えた範囲を負担することについて明確に合意されていること』が必要
要するにちゃんと説明して合意したものでなければ入居者負担にならないよということです。
よくわからないで契約しちゃって、とんでもない金額だったらどうしたらいいの?
それもちゃんと守られていますよ
また、あまりにも暴利でひどい契約は、消費者契約法によって契約自体が無効となります。
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
つまり、原則的な考え方(入居者自身がやらかしてしまったものが入居者の負担)よりも、入居者の負担を増やすためには次の要件が必要となります。
【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
引用:国土交通省、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
②賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
そう簡単には入居者の負担は増やせないんです
そのため、入居者が負担すべき原状回復費としては、最初に記載した次の通りです。
基本はガイドラインの通りで、特約がある場所だけ特別扱いってことです
適切な原状回復費の請求かチェックする方法
それでは、ここからは高額な請求書を受け取った際に、具体的にとるべき行動を解説します!
前置きが長すぎ!よろしくお願いします!
step1 国土交通省のガイドラインをダウンロード
まず一番最初にやるべきことは、判断基準となる国土交通省のガイドライン『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を準備しましょう。
下のリンクから国土交通省のHPへ行けます。
なんだか細かくて見づらい資料だね・・・
step2 契約書の特約事項を確認しよう
次に、賃貸借契約書を取り出し、契約書の最後の方に書かれている『特約事項』を確認しましょう!
特約事項の書かれている場所は、契約書によって様々ですが、全ての契約書でわかりやすく強調されているはずです。
なぜ特約を確認するのかというと、
特約に書かれていなければ、通常の原状回復義務を超えた負担は請求できないからです。
つまり、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と請求内容を比べて、異なる取り扱いがあれば、払う必要がないと判断できます。
先ほどのコレです。
【賃借人に特別の負担を課す特約の要件】
①特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
引用:国土交通省、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
②賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
なるほど!!だから最初に特約を見るんだね!!
step3 請求場所と修繕範囲を確認しよう
次に、請求書に書いてある修繕の場所と修繕範囲・修繕内容を確認しましょう。
step3-1 身に覚えのない修繕場所が入っていないか
通常、退去立会時やその後の室内確認において必ず破損・汚損個所の確認が行われます。
もし原状回復が必要な箇所として一切指摘のなかった場所が突然追加された場合には、なぜ入居者が負担しなければならないのか証拠写真などを提出してもらいましょう。
何の証拠も出せず、自分も認めていない内容であれば、払う必要はありません。
身に覚えがある場所であれば、次のステップへ進みましょう。
step3-2 傷・汚れの発生原因と状態を確認しよう
次に請求されている場所の傷や汚れの発生原因と状態を確認しましょう。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を見ると、別表1(資料P17~)という表に状況別の負担区分が記載されています。
下の図が別表1の抜粋ですが、左側の青で囲われた内容は大家の負担すべきもので、右側の赤で囲われた内容は入居者の負担すべきものです。
確かに、よく見ると左側には「賃貸人負担」とか、「通常の使用による損耗」って書いてあるね
例えば、上の図でいうと、
- 床に家具を置いたことによる凹み:大家(賃貸人)負担
- 引っ越し作業の傷:入居者(賃借人)負担
となっています。
床と同様に壁や天井、建具、設備についてもどちらが負担すべきものか記載されています。
もしベッドを設置したことによる床の凹みなのに、床材の貼り替えを請求されていたらその負担はおかしいと判断できます。
step3-3 修繕範囲、修繕内容が適切か確認しよう
step3-2で確認した修繕場所の入居者負担が正しければ、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の別表2(P22~)を確認しましょう。
下の図が別表2の抜粋ですが、修繕場所に関する入居者の負担単位が記載されています(下の緑で囲った箇所)。
例えば、床がクッションフロア(フワフワしたフローリングのような素材)で同じ部屋だけで傷を複数つけてしまったときに、大家が
一部屋だけ床を貼り替えると色が変わるから、隣の部屋の貼り替えも入居者負担だ!
など言ってきたら、それは明らかに過剰な負担です。
適切な負担範囲が指定されているのか確認しましょう。
step4 住んでいた年数から負担割合を計算しよう
次は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の別表2(P22~)を開き、その一番右側に書かれている項目を確認しましょう。
床を破損させてしまった場合でも、長年住んでいれば通常に使用していても徐々に痛んできてしまい、たとえ入居者の原因で修繕が必要になっていたとしても全額入居者とするのはおかしいと考えられています。
例えば、上の表(別表2)に出ていたクッションフロアを見てみると、
『6 年で残存価値 1 円となるような直線(または曲線)を想定し、負担割合を算定する。』
と記載されています。
「6 年で残存価値 1 円となるような直線」というのは、下の図の耐用年数6年の直線のことです。
図に記載されていない年数や中途半端な年数の場合には、残存価値は『1-住んでいた期間÷耐用年数』で計算できます。
- 住んでいた期間が3年:残存価値は50.0%(=1-3年/6年)
- 住んでいた期間が5年:残存価値は16.6%(=1-5/6年)
当初10万円の価値があった床も、自分の住んでいた期間が5年間であれば、残存価値は16,666円(=10万円×16.6%)になるということです。
6年間住めば原状回復費は1円っていいってこと?
ここからがややこしい話ですが、入居者の負担すべき金額は、『設備の残存価値を考慮しつつ、賃貸住宅の設備として本来機能していた状態まで戻す』のに必要な金額です。
国土交通省のガイドラインでも、残存価値がなくなった後の原状回復費については、次のように記載されています。
経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものである。
引用:国土交通省、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
残存価値は1円でも、作業代が100%入居者負担になることもあるんです!
えぇぇ!!それならどうやって負担額が決まるの?
具体的な計算法については裁判によっても異なっており、厳密な決まりもありません。
例えば、次のように入居者の負担割合を決めている例もあります。
- 修繕費用総額 × 残存価値の割合そのもの
- 修繕費用総額 × 何らかの根拠を持った割合(材料費を除いた金額分等)
- 修繕費用総額 × 100%(全額入居者負担)
破損させてしまった設備や場所、原因によっても扱いが変わっているので、絶対にこうすればいいという答えはありません。
もうだめだ。わけがわからないよ。結局どうしたらよいの?
自分に都合の良い方法を採用し、それで交渉しましょう!!
最終的にどのような計算結果が正しいかは、裁判でもしない限りは決まらず、基本的には当事者間の話し合いで決まります。
なので、入居者側としてはまず自分の都合の良い方法で計算してみることをおすすめします。
もしその計算方法で大家側が折れれば儲けものです。
なるほどね。何が一番お得なの?
入居者の負担額が一番少なる計算方法は、設備の残存価値でそのまま入居者の負担割合を決める方法です。実際の裁判でもこの方法で決着した例もあります。
そのため、まずは経過年数の計算方法そのまま負担金額を計算してみましょう。
必要な修繕費用の総額が10万円の場合、住んでいた年数によって次のように入居者の負担金額を計算してみましょう。
- 住んでいた期間が3年:50,000円(=10万円×残存価値50.0%)
- 住んでいた期間が5年:16,666円(=10万円×残存価値16.6%)
残存価値が1円だったとしても、入居者が壊さなければそのまま使えたのであれば、価値を上昇させる分(材料代金)は大家負担で、元に戻す分(作業代金)は入居者負担です
✓ 原状回復のルール
— こう@不動産投資家🦉 (@FPkinmui) October 22, 2022
︎
Q. 入居者が落書きしたらどうなる?
A. 落書きを消す費用は入居者が負担
⇨ ポイント
☑︎ 使用可能な状態に戻す義務がある
☑︎ 落書きを消す費用は負担する
☑︎ 壁紙の張替では材料費の負担なし
☑︎ 職人さんの工事費や人件費は負担
☑︎ 人手不足で人件費高いよ
↓↓
step5 計算結果を大家へ伝え減額交渉する
請求書に記載された金額と自分で計算した結果を比べ、異なっている場所があれば、なぜそのような金額を請求してきたのか、大家・管理会社へ問い合わせしましょう。
明らかに大家・管理会社側が自分たちの都合の良い請求をしているようであれば、国土交通省のガイドラインの計算と違っていると伝え、減額してくれるよう話し合ってみましょう。
入居者側に知識があるとわかれば下手な請求はできないので、適切な請求額に修正してくれるはずです。
なんだかいけそうな気がしてきたよ!!
原状回復費に関するQA
Q1 請求書に詳細が書いてなかったらどうしたらいいの?
A1.
もし請求書に内訳や作業面積などの記載がなかったら、大家・管理会社へ連絡してください。
「適切な請求内容かわからないので、払えない」
とはっきり伝えれば、対応してくれるはずです。
Q2 請求された工事の金額が正しいのか、どうやって確認したらいいの?
A2.
Googleで「●●工事 相場」と調べてみるか、次の「くらしのマーケット」というサイトで同じ工事を検索してみると、相場から外れたボッタクリ価格かどうかすぐにわかります。
ハウスクリーニングや小規模な工事だったら、大家もくらしのマーケットから申し込んでますよ。リアルな工事価格です。
Q3 経過年数を超えていれば請求は一切ないの?
経過年数を超えていたとしても、善管注意義務違反による破損であれば、入居者は使える状態に戻さないといけません。
例えば、クロス(壁紙)の耐用年数は6年なので、6年を超えればクロスの価値は1円となります。
しかし、たとえ現在の価値が1円であったとしても、張替えが必要になった原因が入居者の故意・過失によるものであれば、入居者は「使用可能な状態まで戻す」義務があることから、落書きを消す工事費用や、クロスの張替えにかかる材料費以外の工事費については入居者の負担となります(材料費は大家負担)。
経過年数を超えた設備等を含む賃借物件であっても、賃借人は善良な管理者として注意を払って使用する義務を負っていることは言うまでもなく、そのため、経過年数を超えた設備等であっても、修繕等の工事に伴う負担が必要となることがあり得ることを賃借人は留意する必要がある。具体的には、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能な場合があり、このような場合に賃借人が故意・過失により設備等を破損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や人件費等)などについては、賃借人の負担となることがあるものである。
引用:国土交通省、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」より
Q4 請求を無視したらどうなるの?
A3.
請求書が届いても入居者が一切反応しなかった場合、「内容証明郵便」という郵送した記録が残る郵便で再度支払うよう催促されます。
それでも支払いや返事がなければ、原状回復費に関する訴訟を提起され、裁判にも応じなければ相手の言い分そのままに裁判所から判決が下されます。
裁判所の判決が出た後、銀行口座の差し押さえや強制執行など、本人の意思とは無関係に裁判所の力で強制的に費用をとられることになります。
え??めちゃくちゃ怖い話なんだけど・・
無視するとドンドン知らぬ間に話が先へ進むので、絶対に相手と話し合いをしましょう!
Q5 解決しなかったらどうしたらいいの?
Q4.
もし相手の主張がおかしいようであれば、国土交通省のガイドラインの内容を相手に伝えるなどし、十分に話し合いを行ってください。
その際、予めこちら弁護士へ相談するなど自分の主張の裏付けがとれていれば、更に強く主張できます。
しかし、いくら話し合いをしても解決できそうになければ、最後は訴訟を検討してみましょう。
訴訟になると相手にもかなり負担がかかり、勝ち目がないと思えばすぐに和解してくれるかもしれません。
まずは弁護士の無料相談などを利用し、対応方針を相談してみると良いです。
また、問題となっている金額が60万円以下であれば少額訴訟という裁判制度も利用できます。
実際に私も少額訴訟を一度やっており、体験談を以下の記事にまとめています(大家側として入居者に請求を行った訴訟です)。
まとめ
本記事では、原状回復費の高額請求を受けた場合の対応策について解説しました。
要点は以下のとおりです。
ジェンツー君にこの内容を教えてあげるね。しかし、国のガイドラインは見づらいねぇ
東京都のガイドラインの方が絵がたくさんあって見やすいですよ。ほぼ同じ内容なので、最初は東京都のガイドライン見た方がいいかもしれませんね
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)