【請求リスクあり】複数の賃貸物件へ同時に申込・審査できるの？

こんな悩みを解決できる記事を用意しました。

本記事を読めば、『リスクなく同時申込する方法』を理解でき、気になるお部屋を同時に押さえることができます。

記事の前半では複数申込のリスクを、後半ではトラブルを回避しつつ複数申込を行う方法を解説していきますので、気になる箇所だけチェックしてみてください。

複数の賃貸物件へ同時に申込・審査できるの？

複数の賃貸物件へ同時に入居申込・審査することはできます！

同時に複数の申込や審査を行ってはダメという法律や決まりは一切ないので、正しい手順で行えば特に問題になることもありません。

実際に私の管理しているアパートでも、

といったように、複数の賃貸物件へ同じ方で審査を行うこともあります。

そのため、やり方さえ間違えなければ、複数の賃貸物件へ同時に申し込んだり、審査を行うことはできます。

複数の賃貸物件へ同時に申し込むメリット

賃貸物件へ同時に申込ができれば次のようなメリットがあります。

メリット１：審査落ちした時の保険になる

1つ目のメリットは、万が一審査に落ちてしまった際の保険になることです。

入居申込を行うと、保証会社・管理会社・大家によって審査が行われますが、審査に落ちてしまうこともよくあるからです。

審査を申し込みしてから結果が出るまで長いと数日かかり、もし審査に落ちてしまったら数日間無駄にしてしまいます。

早く引越しをしたいという方は、万が一の時の保険として使えるのは助かります。

メリット２：他の人にとられない

2つ目のメリットは、気になったお部屋を他の人にとられずにキープできることです。

ほとんどの賃貸物件は申込順となっているので、先に申込をしておけば他の人に取られる心配もなくなります。

どちらにしようか迷っている方などは、同時に申し込めば少しだけ時間の猶予ができます。

複数の賃貸物件へ申込する注意点、デメリット

複数賃貸物件へ同時に申し込むことはできますが、必ず次の点には注意してください。

下手に申込を行うと、大変なことになります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

注意点１：お金を請求されるリスク

下手に複数申込をすると、仲介会社や大家から解約違約金や損害賠償などを請求されるリスクがあります。

実際に請求を受けるかどうかは状況次第ですが、次のような場合には請求されるリスクが高いです。

①契約成立で請求される場合

請求を受ける1つ目の状況としては、申込時点で契約が成立してしまった場合です。

一旦契約が成立すると原則キャンセルはできないので、賃貸借契約の定め通りに解約予告金や違約金の支払義務が発生してしまいます。

例えば、次のようなケースは、申込をした時点で契約成立となり、解約違約金などの支払いが必要になる可能性があります。

• 大家と直接契約（仲介する不動産業者がいない場合）

単に入居申込をしただけであれば契約成立とはならないと思われがちですが、賃貸借契約は諾成契約（だくせいけいやく）といって、お互いの口約束だけでも契約が成立します。

第二章　契約
第一節　総則
（契約の成立と方式）
第五百二十二条　契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示（以下「申込み」という。）に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
２　契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

引用：民法（明治二十九年法律第八十九号）

ただし、不動産会社（宅建業者）が仲介に入る賃貸借契約では、重要事項の説明が義務付けられているので、一般的には書面を用いた重要事項の説明がなければ契約成立とはなりません。

そのため、大家と直接契約する場合には、入居申込＝契約成立となってしまうこともあるので、注意が必要です。

②実際に損害を与えて請求される場合

請求を受ける2つ目の状況としては、実際に大家や管理会社等に対して損害を与えてしまった場合です。

契約が成立しなかった場合であっても、契約準備段階で、相手方に対して契約が締結されるであろうという期待を与えている場合には、信義則上、期待を裏切らないように行為する義務を負うものとされています。

その義務に反して契約を不成立とした場合には、信頼を生じさせたことにより賠償責任を受ける可能性もあります。

例えば、契約の成立前であったとしても、入居者の希望で室内のリフォーム（キッチン交換等）を行った場合には、その受けた被害について損害賠償を請求されることもあります。

注意点２：審査落ちのリスク

複数申込を行う際の2つ目の注意点としては、同時申込が原因で審査に落ちるリスクがあることです。

通常通りに申込を行えば審査に通った場合であっても、申込方法を誤ると管理会社や大家の審査で印象が悪くなり、入居を断られてしまうこともあります。

例えば、次のような状況だと審査落ちのリスクが高まります。

違う不動産屋さんから申込すれば問題ないと思われがちですが、入居申込をすれば必ずその物件を管理している管理会社と大家へ入居申込が送られ、審査が行われます。

もし同じ大家さんが所有している物件に同じ方から複数の入居申込が入れば、

と、保証会社の審査で全く問題ない場合でも断られることもあります。

入居申込審査が完了し、仲介屋さんへ契約書類を送ったのですが、仲介から、キャンセル電話！ガッカリしたところ、マンションの入居者募集看板見ましたと同じ人から連絡が入る。私はこういうやり方嫌いなので、断っている。空き部屋早く決めたい気持ちもあるけど、ご法度です！

— 建物　守＠賃貸管理営業マン (@mamorutatemono) December 3, 2020

注意点３：出禁になるリスク

複数申込を行う際の3つ目の注意点としては、不動産屋さんから出禁になるリスクがあることです。

通常、入居申込があるとその部屋の募集を全て停止し、契約に向けて不動産屋さんや大家さんが動き始めますが、理由もなく一方的にキャンセルされると

と思われ、それが複数の物件を抑えるためだけの申し込みとバレたら、

と、あなたの印象は最悪となり、いくらお客様と言っても相手にしてもらえなくなります。

こういうノリで入居申込書を複数出して後でキャンセル入れる奴いるけど、指のささくれが手の甲までむけてほしい。 pic.twitter.com/Kn9YhrQ4ef

— 巨峰くん@税理士探すならFixpert (@MINEfudosan) December 26, 2018

賃貸に保険の意味で複数申込を出す件、入居希望者は部屋押さえられるし仲介業者はそれでお客さんグリップできることもあるだろうし(そのやり方が良いとは全く思わないけど)、そういう都合がいい部分のマイナス面を全て管理会社とオーナーに押し付けて「電子申込促進」とか言われてもね、というのはある https://t.co/ePvOEzKrF9

— まさ坊@不動産&リノベ (@tenma70) November 1, 2020

気になる部屋が複数ある際の申込方法

複数の賃貸物件へ入居申込する際にどうすればよいのか、ダメな例と良い例をご紹介します。

悪い例：黙って申し込む

絶対にやってはダメな悪い例が、

といったやり方です。

全く関係の物件で、不動産屋さん同士もつながっていなければバレることはまずありません。

しかし、万が一バレたときには入居を断られたり、お金を請求されたりすることもあるので、こっそり申し込むのだけは絶対にやめましょう！

良い例①：予め事情を説明する

複数の物件へ入居申込をする一番良い方法は、最初に期日を決めて事情を説明することです。

例えば、

もしくは

など、複数の物件へ申込する理由や、いつまでに確定できるのかを伝えて申込をしましょう。

予め事情がわかっていれば、不動産屋さんも同時申込という状況を管理会社や大家へ伝えてくれるので、問題になることは全くありません。

数日程度であれば優先して待ってもらえることも多いと思いますが、申込が殺到する人気物件や長期間のキープは難しいので、なるべく期限は短めに設定するようにしましょう。

良い例②：審査のみ先行して依頼する

複数の物件へ申込をする別の方法としては、入居申込ではなく、保証会社や大家の審査だけ依頼することです。

入居申込をすると入居の意思があるとみなされますが、審査のみであればその後のトラブルになることはまずありません。

入居申込ではなく審査のみなので、必ずしも優先されるわけではありませんが、

となり、他の人から入居申込が入った際にも、「どうしますか？」と事前に聞いてもらえることもあります。

審査が通るのか確認だけしたいという方も一定数おり、審査自体は全て無料なので、こういった方法もあると覚えておいてください！

複数の物件申込に関するQA

Q1.別の不動産屋から申込すればバレない？

同じ管理会社や大家さんの物件ならすぐにバレます。

別の不動産屋さんで申込したとしても、入居申込した書類は物件を管理している管理会社や大家さんへ届きます。

Q2.複数の物件へ申し込んだらどう思われるの？

単に複数の物件を同時に申し込んだだけだと、

　「なんて迷惑な人なんだ！」
　「うちの物件を保険に使われただけか！」

と、間違いなく印象は最悪です。


しかし、予め事情を説明されていれば、

　「正式な入居申込になったらいいな」

くらいにしか思われません。悩まれている方はよくいるので、普通のことです。

また、物件によっては、複数の入居者を同時に受け付けて、その中から選ぶといった大家さんもいるので、そういった物件であれば特に気にすることなく同時申込もできます。

「たくさんの申込の中から入居者を選びたい」
普段は申込とるのは一組のみであとはキャンセル待ちで受付しますが、家主からの要望があったので申込を複数件受け付けることに。
良さげな入居者を比較して選べるメリットはありますが、申込時点で物件抑えないのでとりあえず申込みをする人が多い印象です

— なみ@沖縄不動産 (@NAMI54708434) November 13, 2021

Q3.どうやって同じ大家さんや管理会社ってわかるの？

アパートに設置されている看板を見れば、「管理会社　●●不動産」と記載されているので、同じ管理会社かどうかはすぐに確認できます。

大家さんを確認するには、住んでいる人に尋ねるか、物件の謄本を取得するといった方法があります。

まとめ

本記事では、賃貸物件への複数申込に関して解説しました。

要点は次のとおりです。